シリコーン離型剤

シリコーン離型剤とは

シリコーン離型剤とは、製品を成形する際に金型から製品をスムーズに取り出せるようにするための薬剤です。

シリコーン離型剤を金型に塗布することで、製品が金型にくっつくことを防ぎ、製品の表面を傷つけずに美しく成形ができます。名前の通り、主成分としてシリコーンが使われています。

表面張力の低さと広がりやすさが特徴のため、どんな金型にも塗布しやすく、化学的に不活性でほとんどの材料に使用可能です。その分子間力は非常に小さく、ほとんどの成形材料と非相溶なので、離型剤として優れた性能を発揮します。

シリコーン離型剤の使用用途

シリコーン離型剤は、さまざまな成形工程で使用されます。プラスチックやゴム、金属など、さまざまな材質の製品を成形する際に有用です。例えば、プラモデルや玩具、自動車部品、キッチン用品など、日常生活で見かける多くの製品がシリコーン離型剤のおかげできれいに成形されています。 また、食品業界でも、食品包装容器などの成形などに用いられます。。

その他、ダイカスト表面処理や合成繊維も用途の1つです。シリコーン離型剤には艶出し、表面保護、潤滑などの機能もあるため、離型性向上以外の目的でも用いることができます。一般的にエマルジョン、オイル、溶液状で使用されますが、焼き付けたり、スプレーして使ったりするものもあります。

シリコーン離型剤の原理

シリコーンはSi-O結合を骨格とした無機化合物の特性と、Si原子に結合するメチル基 (-CH3) などの有機基に由来する化合物の特性を兼ね備えています。

1. 離型性

シリコーンは表面が有機基で覆われているために表面エネルギーが低く、分子間力が低い特徴があります。これは、他の物質とくっつきにくく剥がれやすいことを示します。この性質により、離型性を向上させることが可能です。

分子間力が極めて小さいと、凝集力が弱く拡散しやすいです。シリコーンは、液滴にならずに金型表面に薄く広げることができます。これにより、シリコーン離型剤を金型に塗布すると、その表面に極薄のシリコーン層が形成されます。このシリコーン層の存在によって、製品と金型との直接の接触を防ぎ脱型しやすくなります。

2. 耐熱性

シリコーンは耐熱性が高く、高温でもその機能を失うことがありません。これはシリコーンの主鎖となるケイ素と酸素の結合が、炭素と炭素の結合に比べて安定であるからです。そのため、高温で成形するプラスチック用の金型にも使用できます。

脱型後の成形品表面にシリコーンが移ってしまうことがありますが、シリコーン離型剤を金型へ焼き付けて皮膜にすることで長期間の使用が可能になります。

シリコーン離型剤の種類

1. エマルジョン型

シリコーンオイルを乳化したエマルジョンで、希釈安定性に優れています。食品包装容器、ゴムやプラスチック成形時の離型、アイロンの滑剤、つや出しに使用されます。

2. オイル型

耐熱性、ぬれ性に優れ、化学的に不活性です。ゴム、プラスチック、タイヤ成形時の離型やつや出しに優れています。他のシリコーン離型剤の基油としても用いられます。

3. 溶剤型

シリコーン樹脂トルエンなど、石油系炭化水素などの溶剤で希釈したものです。金型へのぬれ性に優れています。溶剤が揮散しやすいので熱処理が容易で、焼き付けて使用すると皮膜を形成し、長時間の離型効果を発揮し、製品への離型剤の転写を防止します。

シリコーン離型剤の選び方

シリコーン離型剤の選び方を説明します。選び方のポイントは、主に3つあります。

1. 離型性能

製品がスムーズに脱型できるかどうかは、離型剤の性能によるところが大きいです。製品の形状や材質によって適した離型剤は異なるので、目的に応じて選びましょう。

2. 耐熱性

成形温度に耐えうる離型剤を選びましょう。成形する製品の素材や成形方法により、必要な耐熱性は変わります。

3. 安全性

特に食品や医療品を成形する場合は、人体に影響を与えないものを選ぶことが大切です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber1968/1/3/1_3_146/_pdf/-char/en
https://www.silicone.jp/products/type/mold/index.shtml
https://www.silicone.jp/catalog/pdf/mold_release_j.pdf

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