金属粉とは
金属粉 (英: metal powder) とは、金属を微細な粉末状態にした製品です。
通常は金属を細かく砕いたり、特殊な製造プロセスを使用して製造されます。アルミニウムやニッケルなど、さまざまな金属種類や粒径の製品が販売されています。
金属粉を使用して3Dプリンターなどを活用することで、複雑な形状・内部構造を持つ部品を比較的容易に製造することが可能です。設計の自由度が高く、革新的な製品を開発することができます。また、高い精度で部品を製造できるため、微細部品や精密機器の製造に有利です。
金属粉の使用用途
金属粉は様々な産業や用途で使用されます。以下は金属粉の主な使用用途です。
1. 3Dプリンター
3Dプリンターの材料として使用する場合、デジタルモデルをもとに物体を層状に積み重ねて作製するため、複雑な形状または構造の部品を製造することが可能です。設計の変更が容易であり、試作品の製作にかかる時間と費用を大幅に削減できます。
2. 花火
金属粉は特殊な効果素材として火花を発生させるために使用されます。特に花火において美しい色彩と輝きを作り出すのに広く利用され、異なる金属粉を混ぜることで多彩な花火のデザインを実現することが可能です。ストロンチウムは赤、バリウムは緑、銅は青い色を表現することが可能です。
3. 合金製造
硬質合金は金属粉と非金属材料を混合し、高温で圧縮・焼結させることによって製造される特殊な材料です。非常に硬く、耐摩耗性に優れており、様々な産業分野で使用されます。高度な切削や削り出しまたは成形などが主な用途です。
4. 化粧品
一部の化粧品では金属粉が使用されます。化粧品に光沢や輝きを与えるために使用されることが多く、化粧品業界では主流な材料の1つです。アイシャドウやリップグロスなどにも金属粉が含有している場合があります。
金属粉の性質
金属粉末の製造は、特定の金属を選定するところから始まります。使用する金属粉の用途に応じて適切な金属材料を選択します。一般的な金属には鉄やアルミニウム、銅、ニッケルなどがあります。
金属を微細な粉末に変換するため、粉砕装置や粉砕機を使用します。これにより、金属塊が細かく粉砕され、微細な粉末に加工します。粉末の粒径や粒子の分布に影響を与える重要なプロセスです。
上記プロセスにより、金属粉の粒子サイズを制御しつつ製造します。粒子サイズの調整により、材料の特性や加工性を調整することが可能です。
金属粉の多くは化学的に安定している材料を使用します。腐食や酸化に対して耐性がある場合が多く、合金に使用することが可能です。耐久性のある部品や製品の製造に不可欠な存在です。
金属粉の種類
金属粉は様々な金属から製造され、それぞれ異なる特性を有します。
1. 鉄粉
鉄粉は鉄鉱石から抽出した鉄を微細な粉末に加工した製品です。加工性や靭性に優れており、多くの工業製品に使用されます。
一例としては、鋼材の製造に使用されます。建設業や自動車産業などで主流の材料であり、身の回りでも幅広く使用される材料のひとつです。電磁波を遮蔽するための遮蔽層としても使用され、電子機器の電磁干渉対策製品の材料となっています。
2. アルミニウム粉
アルミニウム金属を粉末化した製品です。軽量で耐食性がある点が特徴です。航空機などの構造材料として重要であり、軽さと強度から航空機の機体部品に使用されます。
また、自動車の軽量化を実現するためにもアルミニウム粉が使用されることがあります。耐食性も高いため屋外用の建築材料としても使用されることが多いです。
3. 銅粉
銅を粉末化した製品です。導電性が高い点が最大の特徴であり、さまざまな電子部品や電気導体の製造に使用されます。配線やコネクタ、プリント基板などの製造に使用されます。
4. ニッケル粉
金属ニッケルを粉末化した製品です。高い耐食性と磁性を持つため、多くの用途で使用されます。
特にリチウムイオン電池などの充電式電池に使用され、高い容量の電池を製造することが可能です。その他には磁気デバイスなどの製造にも使用されます。また、金属塗装に使用される場合もあり、塗装の耐食性を向上にさせる効果があります。
5. タングステン粉
タングステンを粉末化した製品です。高い融点が特徴であり、高温および高強度製品の製造する際に有利です。切削工具や穴あけ工具などに広く使用されます。