洗浄装置

洗浄装置とは

洗浄装置

洗浄装置 (英:cleaning system) とは、化学的・物理的な性質を利用して材料表面に付着している不要なものを取り除く装置です。

精密機器や半導体、ディスプレイなどの製造過程に使用されます。洗浄装置を適切に使用しなければ、不良品や歩留りが多発する可能性があります

洗浄の方法は、超音波洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、ドライ洗浄、溶剤洗浄などさまざまです。半導体の製造の場合、製造工程数は500以上ありますが、その中で洗浄工程が30%~40%を占めると言われています。

洗浄装置の使用用途

具体的な洗浄装置の使用例は、次の通りです

  • 半導体プロセスにおけるシリコンウェーハの洗浄
  • 金属フィルタのメッシュに付着した汚れの洗浄
  • 切削後の金属表面に付着した金属粉の除去

洗浄装置は、汚れの種類、洗浄対象の大きさ、洗浄時間、洗浄精度などを考慮して選択します。また、洗浄方法や使用する洗浄剤、乾燥方法なども重要です。

洗浄装置の原理

半導体プロセスの場合、洗浄の役割はウェーハの汚れを除去することです。汚れはパーティクルと呼ばれる目に見えない小さなごみ、人の垢・フケに含まれる有機物、汗などの油脂、工場内で使っている金属による汚染などがあります。

洗浄装置は、この汚れを溶剤や純水で洗い流します。洗浄後は、乾燥が必須です。ドライイン・ドライアウトと呼ばれ、必ず乾燥させてから、ウェーハを装置から出します。

洗浄装置で代表的な方式は、超音波洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、ドライ洗浄、溶剤洗浄などです。

1. 超音波洗浄装置

超音波洗浄装置は、薬液中に洗浄対象物を入れ、内部を超音波で振動されることで洗浄する装置です。洗浄対象により、振動の大きさや周波数を選定します。

2. スプレー洗浄装置

スプレー洗浄装置は、ノズルから気体や液体を噴出させて対象物を洗浄する方式です。ハンディタイプの洗浄装置もあり、洗浄対象が大きくても対応が可能です。

3. ブラシ洗浄装置

ブラシ洗浄装置は、ブラシを用いて汚れを取り除いた後、溶液やスプレー洗浄を用いて汚れを洗い流す装置です。ブラシという物理的な方法で洗浄するため、取り除きにくい汚れを洗浄することができます。

4. ドライ洗浄装置

ドライ洗浄装置は、UV (紫外線) を洗浄対象物に照射して、オゾンと活性酸素を生成し、活性酸素と汚れを反応させて、汚れを取り除く方式です。半導体やディスプレイの製造現場で主に使用されます。

5. 溶剤洗浄装置

溶剤洗浄装置は、溶剤の溶解力を利用することにより、汚れを溶かして取り除く装置です。非常に危険な溶剤を使用する場合があるので、注意が必要です。

洗浄装置の構造

洗浄装置の基本的構成は、搬送系、処理槽、純水槽、乾燥ステージです。搬送系は対象物を搬入・搬出する装置で、処理槽の中で対象物を洗浄します。純水槽は対象物に付着した薬液を洗い流す槽、乾燥ステージは対象物を乾燥させる装置です。

1種類の処理液で洗浄できる汚れは1つが原則であり、複数の汚れを洗浄する場合は、複数の処理槽と純水槽が必要です。半導体の製造プロセスでは、複数のウェーハをまとめて処理するバッチ式と、ウェーハを1枚ずつ処理する枚葉式の装置が使われます。

バッチ式は、キャリアと呼ばれるケースにウェーハをまとめて入れ、キャリア毎処理層に入れて洗浄します。また、枚葉式は、ウェーハを1枚ずつ回転させながら、スプレー式の洗浄を行います。

洗浄装置のその他情報

洗浄装置に使用する洗浄剤

半導体の洗浄は、複数の処理液を使用します。各処理液で除去可能な汚れが異なります。各処理の後に純水で洗い流しを行います。

  • SPM
    硫酸と過酸化水素の混合物で、有機物の除去用です。
  • APM
    アンモニアと過酸化水素の混合物で、パーティクルと有機物を除去します。さらに、超音波を加え、パーティクルの除去率を高めます。
  • DHF
    フッ酸と純水の混合物で、金属や酸化膜を除去します。フッ酸は、強酸であり、シリコンも溶かしてしまうので、純水で希釈したものを使って、ウェーハの表面のみを処理します。
  • HPM
    塩酸と過酸化水素の混合物で、残った金属や酸化物を除去し、表面に不働態化層を作って、汚れの再付着を防止します。

最後にウェーハを純水で洗い流して、乾燥工程を行います。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/60/2/60_2_103/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/60/2/60_2_95/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/85/924/85_924_1595/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/60/2/60_2_103/_pdf

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