水分センサー

水分センサーとは

水分センサーのイメージ

図1. 水分センサーのイメージ

水分センサーとは、木材や石炭・食品や繊維などに含まれる水分量を測定するために、幅広い分野において使用されているセンサーです。

用いられている測定方式は、電気容量式、電気抵抗式、マイクロ波式、近赤外線式、中性子式があります。電気や中性子、近赤外線などをそれぞれ測定対象に当て、センサーで検知し水分量を求めます。

方式にもよりますが大きく分けると、サンプルに直接接触させて測定するタイプのものと、非接触で測定できるタイプの2種類です。

水分センサーの使用用途

先述したとおり、水分センサーは様々な物に含まれる水分量を測定するために役立てられており、木材や紙・石炭・食品や繊維などの水分を測定するため、各メーカーや工場等で活用されています。製品を出荷する前に品質をチェックする目的に用いられることが多いです。

農作物の生育に必要な水分量を確認するため、特に土壌水分センサーが用いられます。また、化粧品メーカーでは、肌の水分量を測るために利用されていることもあります。

このように、様々な物質の水分量を測定することができますが、用途や対象物にあったセンサーや機種を選択することが重要です。

水分センサーの原理

主な測定方式には、以下のものがあります。

1. 電気容量式

電極を使用した水分センサーのイメージ

図2. 電極を使用した水分センサーの模式図

電気容量式では、測定対象に電極から交流電流を流し、キャパシタンス、すなわち電気容量の変化を水分量に変換して表します。検出回路である発振回路において、電極の静電容量の変化により発振周波数が変化します。

測定物が大きいほど、かつ厚いほど、電極の静電容量の変化は大きくなる性質です。小型化しやすい上に、測定対象を痛めることがないことが長所です。厚みや密度による影響を受けるため、条件を揃えて測定する必要があります。

2. 電気抵抗式

電気抵抗式の水分センサーは、測定対象に電気を流し、その抵抗値を水分量に換算します。測定対象の密度に影響されにくいため、密度が変化やすいものの測定には向いていますが、針を刺す必要があるため、測定対象に傷がつくことがデメリットです。

3. マイクロ波式

電磁波の一種であるマイクロ波を測定対象に照射したときの減衰から、水分量を測定します。内部に含まれる水分を素早く測定することができますが、大型の装置を導入する必要があります。

4. 近赤外線式

近赤外線式水分センサーのイメージ

図3. 近赤外線式水分センサーの模式図

近赤外線とは、可視光線より波長が長く、赤色の外側にある光で近赤外線式の水分センサーは可視光線より波長が長く、赤色の外側にある光である近赤外線を測定対象に照射します。水分は近赤外をよく吸収するので、水分量が多いほど反射される光は減ります。この原理を利用して、照射した近赤外の反射率から水分量を求めます。

簡単に導入することが可能で、測定対象を痛めないことが長所です。表面のごく一部しか測定できないことと、測定対象の色に影響を受けるという短所があります。広範囲照射型、ファイバー式などの形状があります。

5. 中性子式

中性子式は放射線の一種である中性子の線源を用いた装置です。高速中性子は、水素原子と衝突を繰り返すとエネルギーを失い、低速の熱中性子へと変化します。すなわち、高速中性子が熱中性子へ変化する量は、水素量に比例するため、高速中性子を放出する中性子線源と熱中性子に感度を持つ検出器用いて水分量を算出することが可能です。

この方法では内部に含まれている水分も測定することができます。一方で、機器の寿命が短い上に壊れやすいので注意が必要です。また、放射線を扱うので専門知識が必要となります。

6. 乾燥減量法

乾燥減量法は、測定物を試料として採取し、対流式乾燥機や熱源 (ハロゲンランプやマイクロ波など) を用いて乾燥させ、乾燥前と乾燥後の重量から水分を求める方式です。精度が高い方法とされますが、試料採取が必要なことや、非破壊検査ではないことに注意が必要です。

水分センサーの種類

水分センサーには前述の通り、様々な原理が用いられます。実際の製品としては、「土壌水分センサー」「コンクリート・モルタル水分計」など、あらかじめ想定された用途が限定されている製品も多く、使用用途に合わせて選択することが必要です。

また、卓上式、持ち運び式から、比較的大型の機械まで、様々な形状があるため、使用シーンに合わせて様々な種類から選ぶことができます。

参考文献
http://www.micromes.com/microwave/list.html
http://www.fujiwork.co.jp/technica/business/01.html
http://zmchip.com/2499suibunkei.pdf

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