暗渠排水管とは
暗渠排水管とは、主に農地において水を管理するための水路の一種です。
暗渠排水とは、地下水位や地表の水を流すために、地下にパイプを埋設する手法です。土壌の水はけの改善や、農業機械の作業効率向上などのメリットがあります。地面に埋めて使用するため、耐久性や施工性、環境への影響を考慮した素材が使用されます。
また、作物や地域にあった施工方法を選ぶ必要があります。例えば、寒冷地では凍結の心配があるため、寒冷地使用の暗渠排水管を用います。
暗渠排水管の使用用途
暗渠排水管は、主に農地(水田・畑地・果樹園等)に設置する場合が多いです。地下水位を下げる点、排水をコントロールする点などにおいて、農業へのメリットをもたらします。
まず、作物の生育環境の改善(根腐れの防止等)として、作物そのものへプラスの効果をもたらします。次に、春先の融雪の促進・地温の向上といった、農地の土壌環境をコントロールしやすくなることや、農業機械が入りやすくなること・農地の汎用性が上がるといった、農地の利用性向上の利点があります。
排水性のアップを期待して一般家庭の庭になどにも設置する場合があります。
暗渠排水管の原理
暗渠排水は地表水の排水を目的としたものと、浸透水の排水を目的としたものに大別されます。暗渠排水管に用いられる素材は、主にポリエチレンが多いです。しかし、埋設する場所や用途・利便性を考えて以下の素材も使われます。
- 硬質塩ビ管:軽いので取り扱いやすく、適応できる土性の範囲が広いです。一方、低温・衝撃に弱いので注意が必要です。また、軟弱な地盤には向いていません。
- ポリエチレンパイプ:適応できる土性の範囲が広い上、低温にも強いですが、強度が低いことが欠点です。
- 塩ビコルゲート管:硬質で、埋設の方法を選択できるという利点がある一方、低温・衝撃に弱いです。
- ポリエチレンネットパイプ:吸水断面が大きく、低温に強い利点がありますが、適応できる土性は少ないです。
- コンクリート管:耐圧力性は高いですが、重たく取り扱いにくいので、設置が困難です。
- 陶管:適応できる土壌の種類は多いですが、重量があるので取り扱いにくく、設置が困難です。
- ポリエチレンコルゲート管:ポリエチレンに比べて、圧力に対する強度も高く、低温にも強い特徴がありますが、粗度係数がやや高く、水の流れが悪いことが欠点です。
暗渠排水管と疎水材と呼ばれる資材を一緒に埋めます。これを本暗渠と呼びます。疎水材の選定には、透水性の良さ、入手しやすさ、耐久性の良さ、水や土壌を汚染する恐れがないかどうかを考慮して選定されます。入手しやすさ・安全性から、籾殻や砂利、竹などの素材を使用することが多いです。本暗渠を基本として、より排水をスムーズにするための工法を補助渠と呼びます。補助渠の種類には、心土破砕、トレンチ、せん孔暗渠、弾丸暗渠があります。
参考文献
https://www.toyo-green.com/enterprise/detail/Underdrainage.html
https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/tyotei/kizyun/pdf/06_ankyo_gijutsusho26-36.pdf