1軸ステージとは
1軸ステージとは、1方向の移動を行う軸を持った位置決めステージのことです。
1軸ステージでは、製品により水平方向や上下方向 (鉛直方向) などの1方向にのみステージが動きます。1軸ステージでは任意の位置での位置決めが可能です。1軸ステージを使用する際は、用途に合わせてステージの可動方向や位置決め精度を考える必要があります。
あくまで1軸であるため、例えば左右方向の移動と前後方向の移動の2軸の移動が必要な場合には2軸ステージを使用する必要があります。マイクロメーターを採用する1軸ステージでは、精度を必要とする位置決めにも対応可能です。
1軸ステージの使用用途
1軸ステージは、位置決めや調整などを目的として検査装置などの装置で使用されます。ガイド機構や送り機構の違いによって、精度はさまざまです。
また、ガイド機構や送り機構によって1軸ステージの特長も異なります。そのため、使用目的や条件に合った1軸ステージの選定が必要です。
なお、1軸ステージの使用例は以下の通りです。
- 製品検査用装置の位置決め
- 装置位置 (部組) のストローク調整用
- 製品組み立て用治具のモデル変更への対応調整
- FA装置の搬送や位置決め
1軸ステージの原理
1軸ステージは基本的にガイド機構・送り機構・クランプ機構の3つの機構により構成されています。3つの機構の組合せにより1軸ステージの精度などを変更できます。
以下、ガイド機構と送り機構の代表的な方式を説明します。
1. ガイド機構
ガイド機構には、大まかに3種類の機構があります。
アリ溝方式
台形状のアリ溝とアリ溝の収まるアリほぞを利用したガイド機構です。アリ溝とアリほぞの間の摩擦係数が高いため、精度の高い位置決めには不向きです。一方、コストが抑えられるので、簡単な位置決めを行う用途には向いています。
クロスローラ方式
ローラーが内蔵されるスライダーとV溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。レールに沿ってスライダーが移動するときに、V溝の中でローラーが転がります。剛性が高いのが特長です。また、低摩擦で微小な送りができるため、正確な位置決めに向いています。
ボール方式
ボールが内蔵されるスライダーと円弧状のR溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。レールに沿ってスライダーが移動するときにR溝の中でボールが転がります。クロスローラ方式と同様に正確な位置決めに適しています。
2. 送り機構
送り機構には、おおまかに3種類の機構があります。
ラック&ピニオン
ラックギアが形成されるレールとピニオンと呼ばれる歯車を利用した送り機構です。送り速度が速い点が特長ですが、精密な位置決めには不向きです。
送りねじ
おねじとめねじを利用したねじ方式の送り機構です。例えば、ボールねじがこの送り機構に該当します。細かな送りは可能ですが、送り速度が遅いため、長いストロークでの位置決めには不向きです。
マイクロメーター
送りねじよりも細かな精度での送りが可能なねじ方式の送り機構です。送りねじよりも精密な送りが可能ですが、送りねじよりも送り速度は遅くなるため、長いストロークでの調整には向いていません。
1軸ステージの種類
1軸ステージには、直動ステージと回転ステージ、ゴニオステージがあります。
1. 直動ステージ
直動ステージは、水平方向または上下方向の1方向に直線移動するステージを持つ1軸ステージです。
2. 回転ステージ
回転ステージは、上下方向を回転の軸方向として回転するステージを持つ1軸ステージです。
3. ゴニオステージ
ゴニオステージでは、ステージの垂線上の一点を回転中心にしてステージが円弧状に移動します。ステージの傾斜角度を調整できます。
1軸ステージのその他情報
モーター式の1軸ステージ
1軸ステージは手動で操作するものに限らず、駆動をモーターで行うものもあります。この場合、位置決めの精度は、送り機構の精度とモーターの分解能によって決まります。
そのため、モーターの仕様も重要です。一般的に、精密な位置決めを行う場合には、サーボモーターやステッピングモーターが使用されます。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0039.html
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/product/xy/faq/faq01.html