EMC試験機

EMC試験機とは

EMC試験機

EMC試験機とは、電磁環境両立性 (英: Electro Magnetic Compatibility, EMC) を試験するための機器のことです。

電磁環境の両立性とは、電子機器が他の電子機器に電磁的な妨害を与えないことと、もし電磁ノイズを受けたとしても誤動作しないことを要求することを指します。また、ノイズを出すものをエミッションと言い、外来ノイズに耐える力のことをイミュニティと分類されます。両方の性質を表すものが電磁環境両立性 (EMC) です。

EMC試験機の使用用途

EMCには電子機器から発生するノイズを測定するための機器および電子機器にノイズを印加する機器など様々なものが存在します。

ノイズの測定や印加は、電波暗室と呼ばれる電波を完全遮断した試験室で実施します。試験室は公的な認証が必要なため、試験を実施出来る場所は限られます。

電波暗室とは、オープンサイトの電波伝搬特性を模擬した人工試験サイトのことで、金属製の壁によって外来電波をシールドしつつ、壁面や天井に設置された電波吸収体によって電波が吸収される仕組みです。

また、試験室での認証試験は一般的に一日数十万円の費用が発生し、時間をかけるほど試験費用が発生します。電子機器を搭載したメーカーにとっては、開発時の大きな課題となっています。

EMC試験機の原理

電子機器のエミッション (発生ノイズを測定) 試験方法は、伝導エミッションと放射エミッションの2種類があります。

伝導エミッションは、擬似電源回路網と呼ばれるLISN (英: Line Impredance Stabilization Network) と呼ばれる専用ノイズ測定器を使用し、電子機器の発生するノイズを測定します。一方、放射エミッションはアンテナで受信したノイズを測定します。外部ノイズが完全に遮断された場所で行われるため、これらのエミッション試験機の測定システムは、測定する部屋も含めて大変複雑な試験設備となっています。

イミュニティの主な試験は、静電気試験機、方形波インパルスノイズ試験機、スイッチ等の開閉器によるノイズを想定したファストトランジェントバースト試験機、雷サージ試験機、サグやディップとも言われる電源電圧変動試験機等の専用の試験機を使用し、EUTと呼ばれる対象の被試験機にノイズを印加して、規格値まで耐え得るか否かを確認します。

他の試験は、電源ラインの伝導ノイズを評価する試験やマルチメディア機器の通信ポートに流れる伝導ノイズを評価するための試験、放射性の電界ノイズを評価する試験、吸収クランプを使用して電源LINEに流れる伝導ノイズを測定する試験なども実施されています。

以上のことから、EMC試験機を使用した各々の試験によってIEC等の規格をクリアしたものだけが正式に市場で販売ができるということになります。

EMC試験機の種類

エミッションとは「放出・放射」と訳され、排気ガス規制の場面で使用されています。EMCにおけるエミッションは「電子機器が周囲に対して不審な電磁ノイズを放射する」という解釈です。

イミュニティは「免疫」と訳され、EMCにおけるイミュニティは「周囲から印加される電磁ノイズに対する耐性」という解釈です。

また、世界で電子機器を搭載した自社製品メーカー企業に とって、EMCが日本の電気用品安全法や海外のIEC規格に基づいた各国の法律を遵守しないと販売できないことから、EMCをクリアすることが販売する必須条件として重要なポイントになります。

したがって、EMC試験は電子機器から発生するノイズレベルを測定するエミッション試験と電子機器が、外来ノイズに耐えるレベルをチェックするイミュニティ試験になります。

参考文献
http://www.micronix-jp.com/products/emc/
http://www.noiseken.co.jp/modules/products/index.php?content_id=165

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