クロム鋼

クロム鋼とはクロム鋼

炭素鋼に、通常は0.8~3%のクロムを加えた成分の合金鋼です。

クロムは、鉄とともに硬い複炭化物をつくるので、著しく耐摩耗性を増します。焼入れ性も良好で、焼き入れ時のひずみが小さく、マルテンサイト化します。

炭素量が 0.13~0.23%の低炭素クロム鋼は、浸炭による複炭化物の形成で表面硬化性が大きいので、肌焼鋼として使用します。

クロム鋼の短所は、焼戻し脆性で、475℃付近において長時間加熱するか、徐冷すると靱性が低下します。また、脆化温度域以上に加熱した時は、油または水で急冷します。

クロム鋼の使用用途

クロム2%以下のものは、工具・歯車・軸受けなどの機械構造用合金鋼として使用されます。クロム12%以上のものは、ステンレスに分類されます。

クロム鋼は、硬度が高く、焼き入れ性が良いため、高級刃物工具、自動車部品、玉軸受などに用いられています。
錆にくく、磁石をくっ付ける性質もあるため、流し台などの錆を嫌う用途にも適しています。

ステンレスは、すべて鉄と他の金属との合金ですが、クロム鋼には他の一般的なステンレスのようにニッケルが含まれていません。

クロム鋼の種類

JISでは、材質記号SCrと、その後の番号で規定されています。その番号は、炭素量×100を示しています。炭素・クロム以外にも、ケイ素やマンガン、リン、硫黄、ニッケルの各元素量が規程されています。

JISでは、SCr420、SCr430、SCr435、SCr440、SCr445の5規格があります。また、クロム鋼をベースに、クロムモリブテン鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼が各々の長所・短所を補う形で構造用合金鋼として規格化されています。

ステンレス鋼は、クロム鋼の一種で、クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されています。台所のシンクなどに使われている優れた腐食耐性を持つ合金鋼です。クロムを多量に含有するものやクロムとニッケルを多量に含有するものなど、多くの種類があります。耐食性に加えて、耐熱性に優れた鋼種や加工性を向上させた鋼種、孔食や応力腐食割れなどの一部のステンレス鋼の欠点を補った鋼種などもあります。

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