ロウ付け

監修:ハタメタルワークス株式会社

ロウ付けとは

ロウ付け (英: Brazing) とは、金属同士や金属と他の材料を接合するための技術です。

熱によって金属を溶かして接合します。電子部品内部や配管接合など、多くの分野で使用されます。ロウ付けによって形成される接合は非常に強力で耐久性があるため、高い引張強度やせん断強度を持つ接合が実現します。これは、高負荷状態に耐える必要がある用途に適しています。

ロウ付けは高温環境で安定して結合するため、高温に耐える必要がある部品や構造物での使用に有利です。合金の選択によって接合温度を調整することもできます。また、ロウ付けによって結合した金属は密閉性も高くなります。

ただし、作業は高温を伴うため、周囲に可燃物がある場合には十分な注意が必要です。作業エリアをきれいに保ち、火災の危険を最小限に抑えることが重要です。

ロウ付けの使用用途

ロウ付けの主な使用用途は下記の通りです。

1. 空調機

空調機器では、冷媒パイプや配管の接合にロウ付けが使用されることも多いです。これにより、冷却媒体が効率的に循環し、冷却効果が得られます。また、ダクトの接合などもロウ付けが使用される場合があります。

2. 自動車

自動車のボディパネルやフレーム部分の修理には、金属部品の接合にロウ付けが必要です。これにより、部品同士を強固に結合し、破損した箇所を修理することが可能です。また、自動車のエンジン冷却システムにおいて、放熱器やラジエーターの配管がロウ付けによって接合されることが多いです。

3. 宝飾品

宝飾品製作では、金や銀などの貴金属をロウ付けで接合し、ネックレスやイヤリングなどを製作します。また、宝飾品の修理にもロウ付けが使用され、壊れた部品を修復し、宝飾品を再利用することが可能です。

4. 電子部品

ICやコンデンサなどの電子部品は、電子基板にロウ付けされます。これにより、電子回路が形成され、電気信号の伝達が可能です。また、電子機器内部でのケーブルやワイヤーの接続にロウ付けが使用されることもあります。ただし、電子部品においては、適用温度が低いはんだ付けが使用されることも多いです。

ロウ付けの原理

ロウ付けは、金属部品を接合するための一般的な接合技術です。ロウ付けプロセスは、金属部品を接合するために適切な温度を制御することから始まります。通常はバーナーやトーチを使用して、金属部品を適切な温度 (450℃~900℃程度) に加熱します。

フラックスは、ロウ付けプロセスにおいて非常に重要な役割を果たす材料です。金属表面の酸化物を除去し、ロウが金属表面に均等に広がるのを助けます。これにより、強力な接合を実現することが可能です。

温度が適切に制御された金属部品にフラックスが適用され、次にロウを適用します。ロウは線状または棒状の形状をしていることが多く、熱を加えると溶けます。ロウを接合部に適切に適用することで、金属部品が接合される仕組みです。

ロウが金属部品に適切に付着して金属同士が接合されたら冷却します。ロウは冷えると急速に固化し、確実に接合することが可能です。冷却プロセスの間、部品は動かさないように注意が必要です。

ロウ付けの種類

ロウ付けには、使用する金属材料に応じて様々な種類があります。以下は、ロウ付けの種類一例です。

1. 銀ロウ付け

銀を主成分とする合金を使用して金属部品を接合する方法です。銀は高い導電性と耐食性を持ち、高品質の接合を提供します。電子部品や精密機器、医療機器などの製造に広く使用されます。

2. アルミロウ付け

アルミニウム合金を使用して接合するロウ付けです。アルミニウムは高い熱伝導性を持ち、軽量で耐食性があるため、自動車や航空機など多くの用途で使用されます。ただし、アルミニウムの融点は高いため、高温でのロウ付けが必要です。

3. リン銅ロウ付け

リンが添加された銅を使用して接合するロウ付けです。りんの割合によって異なる特性を持ち、接合部の特定の要件に合わせて調整することができます。耐食性に優れており、湿気や腐食性環境に耐えるため、海洋環境や屋外での使用に有利です。

4. 金ロウ付け

金を使用して金属部品を接合するロウ付けです。金は酸素や湿気に対して非常に耐性があり、錆びたり腐食したりしにくい性質を持っています。また、美しい外観を持ち、宝飾品や装飾品の製作に適しています。

本記事はロウ付けを行うハタメタルワークス株式会社様に監修を頂きました。

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