炭酸リチウム

炭酸リチウムとは

炭酸リチウムとは、化学式Li2CO3で表される無機化合物です。

鉱石やかん水から、この炭酸リチウムの形に加工され、そこからさまざまなリチウム化合物が作られています。

炭酸リチウムの使用用途

炭酸リチウムの使用用途は、多岐にわたっており、釉薬、ガラス、セラミックスなどの原料、アルミニウムの電解精錬、電池用材料、圧電材、医薬品が代表例です。リチウムイオン電池の正極活物質の原料や電解質の原料として使われています。リチウムイオン電池は、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、電気自動車など、現代の多くの電子機器に有用です。

正極活物質はリチウムとその他の金属との複合酸化物であり、製造する際のリチウムの供給源として炭酸リチウムが用いられています。ニッケル系の正極活物質などは、炭酸リチウムではなく、水酸化リチウムを原料とします。しかし、水酸化リチウムも炭酸リチウムを原料に作られるため、正極活物質のほとんどが炭酸リチウムを原料としていることになります。

炭酸リチウムは脳の細胞への情報伝達を増幅する化学反応に干渉します。このため、特に医薬品としては精神科領域で用いられる薬剤として、そう病および双極性障害 (そううつ病) の治療薬として効果的です。また、炭酸リチウムを材料とするガラス製品は耐熱容器として利用されています。また、炭酸リチウムから作られたセメントは、より早くタイルを接着できることが知られています。

リチウムは鮮やかな赤色の炎色反応を示すますが、花火の材料として、リチウム金属ではなく炭酸リチウムが用いられています。リチウム化合物としては炭酸リチウム以外にも、水酸化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、金属リチウム、ブチルリチウムがあります。その中でも、炭酸リチウムの需要が最も多く、その半分以上がリチウムイオン電池用途になっています。

炭酸リチウムの性質

炭酸リチウムは、無色から白色の結晶で、分子量が73.89の固体です。密度は2.11g/cm3、融点は723℃、沸点は1310℃です。融点である723 ℃まで加熱すると徐々に分解し始めます。さらに強熱すると、二酸化炭素を発生して酸化リチウムとなります。

一般的なアルカリ金属の塩は水によく溶けますが、炭酸リチウムは例外で、水100mlに対して1.33gしか溶解せず難溶です。そのうえ、温度を上昇させるに従い溶解度が減少します。水溶液はアルカリ性を示します。

加圧により二酸化炭素を水溶液に溶解させると溶解度が約10倍増加しますが、これは炭酸リチウムが炭酸水素リチウムを形成していることによるものとされています。

炭酸リチウムのその他情報

炭酸リチウムの製造方法

炭酸リチウムの構成成分であるリチウムは、地球上に広く分布していますが、反応性が非常に高いため、別の化合物の形で存在しています。地殻構成元素の内0.004%を占めており、塩湖のかん水から抽出されるものと、アンブリゴナイト (2LiF・Al2O3・P2O5)、スポジュメン (Li2O・Al2O3・4SiO2)、ペタライト (Li2O・Al2O3・8SiO2)、レピドライト (K(Li,Al)3(Al,Si,Rb)4O10(F,OH)2)などの鉱石から採取されるものがあります。

1. 鉱石からの炭酸リチウムの抽出
鉱石を焙焼、粉砕した後、硫酸を加えて加熱により硫酸リチウム溶液にします。硫酸リチウム溶液に炭酸ナトリウム水酸化カルシウムを加えて、不純物として含まれる鉄、アルミニウムなどを除きます。

硫酸リチウム溶液を炭酸ナトリウムと反応させ、リチウムを炭酸リチウムとして沈殿させ、これを洗浄、乾燥します。

2. かん水からの炭酸リチウムの抽出
塩化リチウムを含むかん水を、天日乾燥して塩化リチウムを濃縮します。これに炭酸ナトリウムを加え、炭酸リチウムを沈殿させて洗浄、乾燥します。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/554-13-2.html

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