リン酸アルミニウム

リン酸アルミニウムとは

リン酸アルミニウムとは、アルミニウムイオンとリン酸イオンからなる無機化合物です。

化学式AlPO4で表わされ、常温常圧で白色の粉末状固体です。天然に存在するリン酸アルミニウムは、ベルリン石という鉱石として扱われています。

リン酸アルミニウムは、アルミニウムイオンを含む水溶液に、リン酸イオンを含む水溶液を加え、結晶化させることで得られます。加熱により、酸化アルミニウムと五酸化二リンに分解する性質を持つ化合物です。

リン酸アルミニウムの使用用途

1. アルミナセラミック

リン酸アルミニウムは、アルミナセラミックの原料として用いられています。アルミナセラミックは硬度、耐熱性、耐食性、熱伝導性に優れており、電気伝導性が低いです。

電気伝導性が低い性質を活かして、電気絶縁部品を中心とした様々な機械部品の材料として利用されています。

2. セメント

リン酸アルミニウムは、歯科用セメントにも用いられています。酸や塩基への耐性を付与するだけでなく、圧力や張力への耐性も付与する効果があります。

3. バインダー

リン酸と水酸化アルミニウムから生産される第一リン酸アルミニウム (別名酸性リン酸アルミニウム) は、耐火物バインダー、鋳物砂用バインダーに利用されています。

第一リン酸アルミニウムは、化学式Al2O3・3P2O5・6H2Oで表わされる水溶性の酸性リン酸塩です。加熱脱水による縮合、高温加熱による結晶転移によって硬化結合する性質があります。バインダーの他、金属表面処理剤、防炎剤などにも利用されています。

4. その他

吸着剤、耐火レンガ、耐火コンクリート、ノンアルカリガラス、窯業の原料や、特殊コーティング剤に利用されています。

化学工業的には、高温下で無水酢酸を製造する際に使用されています。

リン酸アルミニウムの性質

リン酸アルミニウムは、分子量121.95g/mol、CAS登録番号は7784-30-7です。臭い関するデータはありません。

融点は450℃以上、沸点、引火点などに関する情報はなく、GHS分類において可燃性物質ではありません。

密度は、2.56 g/mL (25°C)、水への溶解度は6.92 grm/l (20°C) です。標準的な大気条件では化学的に安定ですが、強塩基類との接触を避ける必要があります。

リン酸アルミニウムのその他情報

1. 取扱い方法

GHS分類基準には該当せず、人体への毒性情報はありませんが、保護眼鏡および安全手袋を着用して作業を行います。ホコリが生じた場合は、フィルター式呼吸器保護具の着用が推奨されています。

可燃性物質には該当していませんが、可燃性有機物質及び製剤に概ね該当していることから、分散、舞い上がった場合は、粉じん爆発を起こす可能性があるため、換気が必要です。

取扱後はよく手を洗い、汚染された衣類は直ちに取り替え、作業場所以外に持ち出さないように注意します。

2. 応急措置

GHS分類では、人体への有害性を示されていませんが、人体に曝露した場合には、適切な処置が必要です。吸引した場合は、新鮮な空気を吸い、皮膚に付着した場合は汚染された衣類を直ちに脱ぎ、皮膚を水で洗い流します。眼に入った場合は、大量の水ですすぎます。

飲み込んだ場合は、水を飲ませ (多くても2杯) 、体調が回復しない場合は、医師への連絡が必要です。

3. 火災時の措置

水、泡、二酸化炭素粉末を使用して消火を行います。使用してはならない消火剤は無いため、周辺環境、現場状況に応じて適切な消火剤を使用して消火を行います。

火災時には、リン酸化物、酸化アルミニウムなどの可燃性物質や、有毒な燃焼ガス、蒸気を生じる危険性があることから、自給式呼吸器の着用が必要です。

4. 保管

乾燥した環境にて、密閉し、強塩基類と離れた場所で保管します。廃棄時、内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理を行います。

参考文献
https://www.audec.co.jp/products/pdf/msds_coat008.pdf

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