オイルカップ

オイルカップとは

オイルカップ_図0

オイルカップ (英: Oil Cups) とは、機械や装置の潤滑が必要な部分にオイル (潤滑油) を供給するための注油器の一種です。

オイルポット (油差し) からオイルを直接手差しする場合に、機械側に取り付けられる給油口を指します。また、オイルカップを機械や装置に取り付けることで、一定量のオイルを容易に給油可能です。

構造がシンプルで信頼性が高く、機械や装置のメンテナンス費や労務費の低減ができるため、汎用的に利用されている注油器です。

オイルカップの使用用途

オイルカップ_図1

図1. オイルカップの使用例

オイルカップは機械や装置の潤滑や摩擦低減、冷却などの目的でオイルを使用する場合に取り付けます。下記はオイルカップの使用例です。

1.  潤滑と冷却

オイルカップは、機械や装置の摩擦部や動作部に、必要量のオイルを供給するために取り付けます。また、熱を発生する部品や機構の周囲にカップ内のオイルを供給して、熱を吸収し冷却します。

2. ギアボックスへの給油

オイルカップは、ギアボックスなどの部品や機構にオイルを供給し、ギアの正確な動作と摩擦の低減するために使用されます。カップに必要量を給油することで、適切なオイルレベルの維持が可能です。

3. 軸受 (ベアリング) の潤滑

オイルカップは、機械や装置の軸受部分に取り付け、必要量のオイルを供給し、軸受の摩擦と摩耗を低減します。カップに必要量を給油することで、適切なオイルレベルの維持が可能です。

オイルカップの原理

オイルカップ_図2

図2. オイルカップの原理

オイルカップの原理と役割は、下記に示すとおりです。

1. 毛細管現象

カップから機械や装置内に伸びる灯心 (ひも状の芯) が挿入されているオイルカップがあり、灯心は毛細管現象によりオイルを吸い込み、機械へ微量のオイルを滴下させます。

この現象は、灯心の太さや本数、材質を変えることで、滴下するオイルの量を調整し、過剰な給油やオイルの浪費防止が目的です。なお、オイルの温度や粘度によっても給油速度が変化します。

2.  オイルのリザーバー

オイルカップは、一定量のオイルを溜めておくリザーバー (容器) としての役割があります。カップ内のオイルは、機械や装置内のオイルレベルを示し、オイルレベルの目視監視が可能です。オイルは、機械内のオイル減量と共にカップから供給されます。

オイルカップの種類

オイルカップ_図3

図3. オイルカップの種類

1. 供給方法 (灯心式) による分類

灯心式は、上記の毛細管作用を利用したオイルカップで、給油されたオイルは灯心に吸い込まれ、パイプ内を通って機械に少しずつ滴下し常時供給する方法です。

2. 形状と構造による分類

オイルカップは、形状と構造により下記の種類があります。

ストレート形とエルボ型
カップ部分と供給管部分の形状が、真っ直ぐな「ストレート形」と、90度に曲がった「エルボ形」があります。カップ上面には開閉するカバーがあり、スプリングで常時閉まっていて、粉塵等がカップ内に入らないように封止します。

ねじ込み形と打ち込み形
機械や装置に取り付ける方法は、相手側のめすねじにねじ込み取り付ける「ねじ込み式」 (管用平行ねじ、管用テーパねじ、メートルねじ) と、相手側の穴に埋め込む「打ち込み形」があります。

玉入れ形
カップ内にボールとスプリングがあり、給油ポットの先端などでボールを押し込み、隙間から給油します。ボールはスプリングでカップふた面に押し付けられて、粉塵等がカップ内に入らないように封止します。

オイルカップのその他情報

オイルカップの取り付け位置

オイルカップを灯心式ではなく直接給油する方法で使用する場合は、取り付け位置の決定は注意が必要です。カップ内のオイルレベルが、機械や装置内の適切なオイルレベルになるように取り付け位置を調整する必要があります。

灯心式でオイルを滴下させ給油する場合は、機械や装置内の必要なオイルレベルとは関係なく、高い位置にオイルカップを取り付けます。

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