オクタノール

オクタノールとは

1-オクタノールの基本情報

図1. 1-オクタノールの基本情報

オクタノールとは、化学式がC8H17OHで表される、炭素数8の脂肪族飽和アルコールの総称です。

89種類の異性体が存在しますが、狭義には直鎖上の1-オクタノール (n-オクタノール) を指します。

1-オクタノールは、化学物質審査規制法(化審法)で優先評価化学物質に分類されています。化学物質排出把握管理促進法(化管法)で第1種指定化学物質に、大気汚染防止法で有害大気汚染物質に、環境基本法で水質要調査項目に、海洋汚染防止法で有害液体物質Y類に分類されているほか、食品衛生法や消防法でも規制対象です。

オクタノールの使用用途

1-オクタノールは、香料原料、界面活性剤原料、合成樹脂可塑剤原料、化粧品溶剤、食品添加物などに使用されます。ローズ系香料、 潤滑油、安定剤、印刷インキ溶剤、酢酸オクチルのようなエステル原料にも利用可能です。

液体クロマトグラフィーや薬学などの分野では、疎水性と親水性の指標として、水-オクタノール系の分配係数 (Log P) が使われます。

オクタノールの性質

1-オクタノールの示性式はCH3(CH2)6CH2OHで表されます。融点は-16°Cで、沸点は195°Cです。バラのような香りを有し、粘性の高い無色の液体で、水には溶けません。

オクタノールの構造

1-オクタノールのモル質量は130.23g/molで、密度は0.824g/cm3です。別称として、n-オクタノール、オクタン-1-オール、n-カプリルアルコール、n-オクチルアルコール、オクチリン、シポールL8、アルホール8などがあります。

オクタノールのその他情報

1. 1-オクタノールの合成法

工業的に1-オクタノールは、トリエチルアルミニウムを使用してエチレンをオリゴマー化し、アルキルアルミニウム生成物の酸化によって合成可能です。チーグラー法 (英: Ziegler process) と呼ばれ、さまざまなアルコールが生成します。

パラジウム錯体を触媒に用いると、1,3-ブタジエンに1分子の水が付加して二量化します。得られた二重不飽和アルコールを水素化すると、1-オクタノールを生成可能です。

2. 2-オクタノールの特徴

2-オクタノールの基本情報

図2. 2-オクタノールの基本情報

1-オクタノールの構造異性体である2-オクタノールは、光学異性体を有します。化学式はCH3(CH2)5CH(OH)CH3で表されます。20°Cでの密度は0.8207g/cm3であり、融点は−38°Cで、沸点は178.5°Cです。

2-オクタノールは水に難溶で、エタノールジエチルエーテルには可溶です。別称には、オクタン‐2‐オール、sec‐カプリルアルコール、sec-オクチルアルコール、イソオクタノール、イソオクチルアルコール、ヘキシルメチルカルビノールなどがあります。

2-オクタノールは、消泡剤、溶剤、香料、可塑剤原料、ブレーキ油基油などに用いられます。

3. イソオクタノールの特徴

2-エチル-1-ヘキサノールの基本情報

図3. 2-エチル-1-ヘキサノールの基本情報

化学式がRCH2OHで表される分枝脂肪族アルコールの混合物のことを、イソオクタノールやイソオクチルアルコールと呼びます。Rは分枝ヘプチル基 (C7H15) です。

工業的用途では2-エチル-1-ヘキサノールを、単にオクタノールと呼ぶ場合もあります。2-エチル-1-ヘキサノールは無色の液体です。密度は0.833g/cm3であり、融点は-76°Cで、沸点は183〜185°Cです。プロピレンのヒドロホルミル化によってブチルアルデヒドが生成し、ブチルアルデヒドのアルドール反応後に水素化すると、2-エチル-1-ヘキサノールを合成可能です。

2-エチル-1-ヘキサノールとフタル酸のエステルは、ポリ塩化ビニルなどの高分子物質の可塑剤として知られています。そのほか、工業用可塑剤、塗料、合成潤滑油などの原料に使用可能です。 

参考文献
http://www.chemicoco.env.go.jp/detail.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/111-87-5.html
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/957

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