オクタナール

オクタナールとは

オクタナール (英: Octanal) とは、鎖状の有機化合物であり、アルデヒドの1種です。

化学式は、CH3(CH2)6CHOまたはC7H15CHOで表されます。モル質量は128.21204g/mol、密度は0.821g/ml、融点は-23℃、沸点は171℃、CAS登録番号は124-13-0です。

分岐鎖をもつ異性体と区別するために、直鎖のオクタナールをn-オクタナール (ノルマル-オクタナール) と表記することもあります。 別称は、オクタルデヒド、オクトアルデヒド、オクタンアルデヒド、オクチルアルデヒド、カプリルアルデヒド、1-オクタノンなどです。

オクタナールの使用用途

1. 香料

オクタナールは、レモン油・オレンジ油などの香料の調合などが主な使用用途です。そのほかにも、ジャスミン・バラといった調合香料、塗料やワニスの原料としても使用用途があります。さらに、一部のアルコール飲料などに含まれている場合もあります。

また、アルデヒド基の部分がアセタール化された物質も独特のにおいをもっており、香料として市販されているように、オクタナールの誘導体も使用されていることが特徴です。

基本的には、本物質が有する独特の果実臭を利用した用途であるといえます。

2. 合成原料

オクタナールは比較長いアルキル鎖を持つアルデヒドであるため、さまざまな天然物の合成原料です。長鎖アルデヒドの構造を持つ天然物は海藻類などの生体内に含まれています。

特にオクタナールは、(−)-ジヒドロスポロトリオリド、(+)-テトラヒドロピレノホロール、および(+)-アワジャノマイシンの全合成に不可欠な前駆物質です。エリスリトールおよびペンタエリスリトールに基づくヒドロトロープの合成にも使用できます。

オクタナールの性質

常温常圧では無色~単黄色の可燃性の液体であり、少量では柑橘系を連想させる果実臭がしますが、多量の場合はカメムシを連想させるような悪臭に変化します。また、この物質はレモングラス油中に存在しています。

メタノールやジエチルエーテル、アセトンなど各種有機溶媒に溶けやすいですが、水には非常に溶けにくいです。1-ヘプテンの二重結合に水素および一酸化炭素を作用させる方法 (ヒドロホルミル化) 、または1-オクタノールのヒドロキシル基の酸化によって得られます。

オクタナールのその他情報

1. 危険性

注意点としては、人体に対する刺激性があり、眼や皮膚、呼吸器への刺激があります。また、沸点が171℃であるのに対して、引火点は51℃とかなり低いため、引火性は非常に高いです。

消防法に定める第4類危険物 第2石油類にも該当し、取扱いに注意が必要です。具体的な指定は、以下のようになっています。

労働安全衛生法 危険物・引火性の物 (施行令別表第1第4号)
消防法 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体 (法第2条第7項危険物別表第1)
船舶安全法 引火性液体類 (危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法 引火性液体 (施行規則第194条危険物告示別表第1)

2. 安全対策

オクタナールを扱う際には、安全対策に注意する必要があります。まず、「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行うことが必要です。

さらに、熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけ、禁煙を行わなければなりません。また、容器を密閉しておき、容器を接地してアースをとることが重要です。

火花を発生させない工具を使用し、静電気放電に対する予防措置を講ずることも不可欠となります。そのほか、取り扱う際にはゴム手袋および保護メガネ、白衣を適切に着用することで皮膚や目への刺激を防ぐことができます。

参考文献

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/124-13-0.html

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