オクチルアミン

オクチルアミンとは

オクチルアミン (英: Octylamine) とは、リンゴに含まれる炭素数8の飽和脂肪族アミンです。

IUPAC名は、オクタン-1-アミン (英: Octan-1-amine) です。別名として、1-オクタンアミン (英: 1-Octanamine) や1-アミノオクタン (英: 1-Aminooctan) 、カプリルアミン (英: Caprylamin) 、N-オクチルアミン (英: N-Octylamin) 、カプリリルアミン (英: Caprylylamine) 、アルミーン8 (英: Armeen 8) 、アルミーン8D (英: Armeen 8D) などがあります。

オクチルアミンの使用用途

1-オクチルアミンの使用用途は、以下の通りです。

  • 道路用アスファルト乳化剤
  • ゴム離型剤
  • グリース用増稠剤
  • 浮遊選鉱剤
  • 衣料柔軟剤 (陽イオン性界面活性剤)
  • 両性界面活性剤原料
  • 防錆・防食剤
  • 肥料固結防止剤
  • 加硫促進剤
  • 印刷インキ
  • トナー

また、抗菌・殺生物剤であるオクテニジンや、N-オクチルピロリドンなどの中間体としても使用されます。広義のオクチルアミンとして、ジオクチルアミンは帯電防止剤、トリオクチルアミンは溶剤抽出剤や水処理剤、溶剤抽出剤、金属元素に対する陰イオン交換体などに使われています。

オクチルアミンの性質

オクチルアミンの化学式はC8H19Nで表され、分子量は129,25です。CAS番号は111-86-4で登録されています。

融点・凝固点は-0.1℃、沸点は180℃で、常温で密度0.783g/cm3、無色〜薄黄色のアンモニア様の特異臭を持つ液体です。エタノールジエチルエーテルアセトンへは極めて溶けやすく、四塩化炭素にも可溶です。水へは200mg/Lとあまり溶けません。

酸性・アルカリ性の程度を表すpHは25℃の100g/L水溶液において11.8、酸解離定数 (pKa) は10.65 (25°C) です。酸解離定数とは、酸の強さを定量的に表すための指標の1つです。pKa が小さいほど強い酸であることを示します。

オクチルアミンの種類

オクチルアミンは、狭義には1-オクチルアミンを指し、広義にはジオクチルアミンおよびトリオクチルアミンを含みます。

1. ジオクチルアミン

ジオクチルアミンの化学式はC16H35Nで表され、分子量は241.46です。CAS番号は1120-48-5で登録されています。融点は13〜16℃、沸点は297〜298℃で、常温で密度0.799g/cm3、無色透明〜薄黄色の液体です。

2. トリオクチルアミン

トリオクチルアミンの化学式はC24H51Nで表され、分子量は353.67です。CAS番号は1116-76-3で登録されています。融点は34℃、沸点は365〜367℃で、常温で密度0.809g/cm3、白色の低融点結晶です。

オクチルアミンのその他情報

1. オクチルアミンの製造法

1,3-ブタジエンアンモニアを反応させてオクタンジエニルアミンを得た後、水素化することで得られます。

2. 法規情報

オクチルアミンは、以下の国内法令に指定されています。

  • 消防法
    危険物第四類 第二石油類 危険等級Ⅲ
  • 労働安全衛生法
    危険物・引火性の物 (施行令別表第1第4号)
  • 労働安全衛生法 (令和6年の施行)
    名称等を表示すべき危険物及び有害物 (法57条、施行令第18条) 、名称等を通知すべき危険物及び有害物 (法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
  • 化審法
    優先評価化学物質 (法第2条第5項)
  • 危険物船舶運送及び貯蔵規則
    毒物類・毒物 (危規則第3条危険物告示別表第1)
  • 航空法
    毒物類・毒物 (施行規則第194条危険物告示別表第1)
  • 化学物質排出把握管理促進法
    第1種指定化学物質 (法第2条第2項、施行令第1条別表第1)、第1種-管理番号:576

3. 取り扱い及び保管上の注意

取り扱い時の対策
強酸化剤は混触危険物質です。取り扱い時や保管時には、接触させないでください。液体および蒸気は引火性があります。引火点は58℃です。高温と直射日光、熱、炎、火花、静電気、スパークなどの着火源からは、遠ざけて取り扱い、および保存してください。

取り扱う際は、保護手袋と保護眼鏡、保護衣、必要に応じて、粉塵マスクや保護面を着用します。使用後は、皮膚が露出していた個所をよく洗ってください。

火災の場合
熱分解で、一酸化炭素 (CO) 、二酸化炭素 (CO2) 、窒素酸化物 (NOx) など刺激性で有毒なガスと蒸気を放出するおそれがあります。二酸化炭素 (CO2) 、泡、粉末消火剤、砂を使用して消火してください。棒状放水は行わないでください。消火にあたる場合は、手袋や眼鏡、マスクなど適切な保護具を着用します。

保管する場合
オクチルアミンは、光によって変質する可能性があります。遮光したガラス製の容器に密閉し、換気が良く、なるべく涼しい場所に保管してください。保管場所は必ず施錠します。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/111-86-4.html
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0115-0017JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Octylamine

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