ベンズアルデヒド

ベンズアルデヒドとは

ベンズアルデヒド (化学式: C7H6O) とは、芳香族アルデヒドに分類される有機化合物です。

自然界に存在する物質であり、モモやアンズの芯から抽出される精油の主成分です。アーモンドやクヘントウに似た香りを持つことが特徴として挙げられます。

ベンズアルデヒドは、酸化されやすい性質があり、空気中に置いておくと徐々に安息香酸に変化します。可燃性のある物質であり、国内の消防法においては、「危険物 第4類 引火性液体 第2石油類 危険等級 III」に指定されています。

ベンズアルデヒドの使用用途

ベンズアルデヒドは、その芳香を活かし、石鹸や化粧品などの香料として使用されます。工業的には、トルエンの塩素化で得られる塩化ベンザルを加水分解することにより生成可能です。製造コストが安価であるため、大量生産される製品への使用に適しています。

また、芳香族アルデヒドの代表的な化合物であり、アルデヒドとして種々の反応性に富んでいます。そのため、香料以外の用途として、染料、医薬品などの中間物にも使用可能です。

ベンズアルデヒドの性質

ベンズアルデヒドの分子量は106.12、CAS登録番号は100-52-7です。ベンゼンカルボナルと呼ばれることもあります。

1. 物理的性質

ベンズアルデヒドは、無色から薄い黄褐色の澄明な液体で、特異臭をもつ可燃性の有機化合物です。

融点/凝固点は-26℃、引火点は62℃、沸点又は初留点及び沸騰範囲は180℃、自然発火温度は190℃、爆発限界範囲は、下限が1.4vol%、上限が8.5vol%です。

蒸気圧は150Pa、密度は1.041-1.050g/mL、相対ガス密度は3.66 (air=1) です。

2. 化学的性質

エタ ノ ール、ジエチルエーテルに極めて溶けやすく、水にはほとんど溶けません。通常の取扱いにおいては安定ですが、光によって変質する可能性があります。

また、高温、直射日光、熱、 炎、 火花, 静電気、スパーク、強酸化剤との接触を避けなければなりません。特定の条件下で、爆発性過酸化物を生成することがあります。また、一酸化炭素や二酸化炭素などの、危険有害ま分解生成物を発生させる恐れがあります。

ベンズアルデヒドのその他情報

1. ベンズアルデヒドの安全性

強い眼刺激性があり、飲み込むと有害です。呼吸器への刺激や、眠気やめまいのおそれがあります。また、中枢神経系への臓器障害のおそれもあります。

長期、又は反復暴露によって、中枢神経系、血液系、肝臓、呼吸器系への臓器障害の危険性が高いです。水性生物への毒性も確認されています。

暴露、もしくは体調が優れない場合は、直ちに毒劇物センターもしくは医師に連絡します。

2. ベンズアルデヒドの取扱方法

作業者は、有機ガス用防毒マスク、不浸透性保護手袋、側板付き保護眼鏡 (ゴーグルまたは全面保護眼鏡) 、長袖作業衣を着用して作業を行います。作業場所は、発生源の密閉化、 もしくは局所排気装置を設置する必要があります。

また 、取扱い場の近くに、安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設置し、 設置位置を明瞭に表示することが重要です。取扱い時は火気厳禁とし、高温物、スパークを避け、強酸化剤との接触を避け作業を行います。作業台、床などは静電マットを使用するなど、静電気発生を抑制するため措置を行います。

3. ベンズアルデヒドの保管・輸送

容器は遮光し、換気の良いなるべく涼しい場所で、密閉し て保管します。また保管容器にはガラスを使用し、強酸化剤と離れた場所で保管します。

特別安全対策として、移送時はイエローカードの保持が必要です。また、食品や飼料と一緒に輸送することは禁止されています。その他、国際規制、国内規制に従って輸送を行う必要があります。

4. ベンズアルデヒドの廃棄方法

廃棄前に、可能な限り無害化、安定化、および中和等の処理を行い、危険有害性のレベルを低い状態にする必要があります。廃棄時は、関連法規並びに地方自治体の基準に従って処理を行います。

容器は清浄にしてリサイクル、もしくは関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行います。空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去する必要があります。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-1220JGHEJP.pdf
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/100-52-7.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です