ロータリージョイントとは
ロータリージョイント (英:Rotary Joint) とは、回転する部分と固定された部分との間で信号や流体を伝達するため継手です。
対応する流体の種類は幅広く、水やエアー、油、クーラントなども供給が可能です。電気信号を伝達するロータリージョイントも販売されています。
本体は、ベアリングや回転用のシールなどが内蔵された回転部分と、配管を繋ぐハウジングなどを含む固定部分に分かれています。接続された配管は回転と連動することがないため、ねじれたり損傷したりする危険を防ぐことが可能です。
また、ロータリージョイントは回転部分と固定部分の間で機械的な制約を最小限に抑えることが可能です。これにより、回転範囲や回転速度に制約がなくなります。機械の自由な回転運動を可能にするため、設計や操作上の柔軟性が向上します。
ロータリージョイントの使用用途
ロータリージョイントは、さまざまな使用用途で広く活用されています。以下に使用用途の一例を示します。
1. 通信業界
ロータリージョイントがアンテナなどの回転機器と固定された基地局間で信号を伝送するために使用されます。これにより、回転する機器が自由に動きながら、信号の連続的な伝送が可能です。
衛星通信では、衛星アンテナが地上局に向けて常に信号を送る必要があります。ロータリージョイントを使用することで、アンテナが回転しながらも信号を確実に伝送することが可能です。
2. 自動車産業
自動車のステアリングシステムでは、ドライバーがハンドルを回転させることでタイヤの方向転換を制御します。このとき、エンジンルームとステアリングホイールとの間で信号やエネルギーを伝送するためにロータリージョイントが必要です。ロータリージョイントはハンドルの回転とタイヤの方向転換を連動させる役割を果たし、スムーズなハンドリングと車両制御を可能にします。
3. 風力発電
風力タービンは風の方向に合わせて回転する必要があります。これにより、風力を回転運動に変換して発電します。
風力タービンの上部には、回転する部分と固定された部分の間で電力や制御信号を伝送するためのロータリージョイントが装備されることが多いです。これにより、タービンが風向きに合わせて正確に回転することができます。
ロータリージョイントの原理
一般的なロータリージョイントは、ローター (回転部分) 、ベアリング、ハウジング (固定部分) 、回転用シールなどで構成されています。
1. ローター (回転部分)
ローターは回転する部分であり、回転軸やシャフトです。回転する信号や流体の伝送を担当します。ローターは、回転の安定性や耐久性が求められるため、高品質な素材や適切な表面仕上げが施されることがあります。
2. ベアリング
ベアリングは、ローターを支持し、回転運動を円滑に行う役割を果たします。ボールベアリングやローラーベアリングなどが使用されることが多いです。摩擦を最小限に抑え、負荷を受ける部品の寿命や動作精度を向上させる役割を果たします。
3. ハウジング (固定部分)
ハウジングは、ロータリージョイントの固定された部分です。一般的に装置のフレームや構造体に取り付けられ、回転部分の安定性と固定を提供します。ハウジングは、信号や流体の伝送経路を形成し、適切なシールや接続手段を提供することがあります。
4. 回転用シール
回転用シールはローターとハウジングの接合部に配置され、漏れや損失を防止することが可能です。回転用シールは回転部分の軸とハウジングの間に密封を提供し、信号や流体の漏れを防ぎます。適切なシール材料と構造が選択され、耐久性や耐摩耗性を確保します。
ロータリージョイントの種類
ロータリージョイントはいくつかの種類に分けられます。
1. 単式
ローターとハウジングの間に、信号や流体の伝送に使用される1つの通路しか存在しないロータリージョイントです。最も単純な構造で、広く使用されています。
接続された配管から、水・エアー・油などが供給され、回転体を介して反対側に排出されます。流路は1つであるため、1種の流体のみを供給することが可能です。
2. 複式内管固定式
複数の回転通路を持ち、内管が固定された構造です。回転体に水・エアー・油などを供給し、同じ側から排出させることができます。2つ以上の流体を供給する場合に使用されます。
3. 複式内管回転式
複数の回転通路を持ち、内管が回転可能な構造です。回転体に水・エアー・油などを供給し、同じ側から排出が可能です。内管も一緒に回転する必要がある場合には、複式内管回転式を用います。
参考文献
http://www.sgk-p.co.jp/products/rotaryjoint/use/
http://www.takeda-trade.co.jp/HTMLfiles/pdf.folder/pdfstock/maier/Machine%20Tools.pdf