タッチプローブ

タッチプローブとは

タッチプローブ

タッチプローブとは、工作機械のツールや加工ワークの寸法を高精度に測定するための接触型センサーです。

NC工作機械の主軸あるいは刃物台に取付けられ、スタイラスと呼ばれる検出子を対象物に接触させることで、ミクロン単位の精度で計測した座標値をNCにフィードバックします。加工プログラムに組み込む際は、測定時の数値が許容範囲を超えた場合にエラーを出す設定にしておきます。これにより、加工不良を瞬時に判別することが可能です。

また、測定した数値は順次NCに蓄積されていきます。この数値を解析すれば、生産性や加工精度の向上にも応用できます。

タッチプローブの使用用途

タッチプローブは、元々は3次元測定器用として開発されたものでしたが、現在はマシニングセンタタレット旋盤などのCNC工作機械に多く使用されています。タッチプローブは多方面からの接触ができるという特性から、様々な形状測定が可能です。

例えば、ワークの両端面を計測すれば2点間の距離が分かると同時に、両面の平面度や平行度などの幾何形状も測定できます。また、その他にもワークの穴の内径や振れ、複数穴の中心間距離、旋削ワークの外形の測定などにも使用されます。

タッチプローブの原理

タッチプローブのスタイラスが対象物に接触すると信号が受信機に伝達され、その時の機械原点をNCにフィードバックすることで寸法を測定します。プローブからの信号を伝達する方法には、インダクティブ方式や赤外線方式、無線方式などがあります。

1. インダクティブ方式

機械内部の受信機とプローブに信号伝達用のモジュールを設置し、電磁コイルによって信号を伝達する方法です。受信機とプローブを接近させる必要があるため、配置レイアウトはかなり制限されます。

一方で、プローブ側の電力供給はモジュールを介して行うことができるので、プローブ本体の電源が不要になるというメリットもあります。

2. 赤外線方式

赤外線を利用して信号を伝達する方法です。インダクティブ方式と比べると、信号伝達範囲が格段に広くなったことから、レイアウトの制限という問題が解消されています。現在でも多くの場面で使用される伝達方式です。

3. 無線方式

赤外線方式の信号伝達範囲をさらに向上させたものが、電波を用いた無線方式です。こちらは、大型加工機や5軸加工機などのツーリングゾーンが広い機種にも対応可能です。

タッチプローブの種類

タッチプローブは様々な工作機械に導入されています。

1. 研削盤用タッチプローブ

研削盤で使用されるタッチプローブで、円筒研削の砥石の摩耗検出や研削対象のワーク高さ計測にも使用されます。研削盤を手動で工具交換するため、ケーブル通信式のタッチプローブが広く採用されています。

2. NC旋盤用タッチプローブ

NC旋盤に使用されているタッチプローブで、ワークの内径、外径、端面測定を行います。タレットに接続するため、ワイヤレス式のタッチプローブが主流です。

3. 簡易型タッチプローブ

主に汎用工作機械で用いたり、ワークの段取り補助として使用されるタッチプローブで、アナログ式のものを指します。ダイヤルケージで数値を読み取ったり、LEDで接触を示したりするものがあります。

タッチプローブのその他情報

1. 手動測定の三次元測定機との比較

タッチプローブが登場する前に三次元測定機は存在していましたが、手動で測定子を被測定物に押し付けてオペレータがボタンを押すことでデータ取得する方式でした。この方法ではオペレータが被測定物に押し付けるため、オペレータの裁量で値に誤差が生じる問題があります。

現在のタッチプローブは手動の際に発生する精度誤差の問題はなく、常に高い精度で測定が可能です。

2. タッチプローブのメリット

タッチプローブは現在、マシニングセンターなどの工作機械に搭載されることが多いです。タッチプローブの機上測定メリットには以下のものがあります。

作業時間の短縮
加工機から測定機への移動が無くなり、また測定機上での原点出しが不要になるため作業時間の短縮が可能です。加工機上でワークの測定ができるので測定完了後に再加工を行うこともできます。

作業者の負担軽減
加工機から測定機へのワーク移動が無くなるため原点位置は変わりません。前述の通り原点出し作業が不要になり、作業者の負担が軽減されます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/11/75_11_1273/_pdf

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