ジフェニドール

ジフェニドールとは

ジフェニドールとは、化学式C21H27NOで表せられる分子量309.44518の有機化合物です。

ジフェニドール塩酸塩 (化学式: C21H27NO・HCl、分子量: 345.91) が、抗めまい剤 (抗眩暈薬) として使用されています。ジフェニドール塩酸塩は、主に内耳障害によるめまいや、メニエール病、前庭神経炎、および前庭機能障害に関連する症状の治療に使用されます。

そのほか、特に乗り物酔いや手術後の悪心・嘔吐の症状を緩和にも効果的です。

ジフェニドールの使用用途

ジフェニドールは、ジフェニドール塩酸塩の構造で、抗めまい剤 (抗眩暈薬) として用いられる薬物です。主に内耳障害によるめまいやメニエール病、前庭神経炎、および前庭機能障害に関連する症状の治療に使用されます。

ジフェニドールは通常、錠剤やカプセルとして経口投与され、一般的に1日3~4回に分けて服用されます。副作用には、眠気、頭痛、乾燥口、消化器症状 (悪心、嘔吐、便秘) などが含まれますが、多くの患者では軽度で一過性です。

ただし、重篤な副作用やアレルギー反応が起こる可能性があるため、使用中に異常な症状が現れた場合は速やかに医師に相談することが大切です。また、ジフェニドールは抗コリン作用を有しているため、以下の患者に対しては投与に注意が必要です。

  • 緑内障
    眼圧が上がることがあります。
  • 前立腺肥大等尿路に閉塞性疾患がある
    抗コリン作用により、排尿困難を悪化させることがあります。
  • 胃腸管に閉塞がある
    症状が悪化することがあります。

なお、妊婦に対しては、治療上の利益が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与可能です。

ジフェニドールの性質

ジフェニドール (ジフェニドール塩酸塩) は分子式C21H27NO・HCl、分子量345.91で表される化合物です。融点は約217℃で、この温度で分解します。

ジフェニドール塩酸塩は、白色結晶または、結晶性の粉末で、においはありません。ジエチルエーテルにはほとんど溶けず、水にもやや溶けにくい性質を持ちます。しかし、エタノールにはやや溶けやすく、メタノールには溶けます。

ジフェニドールの構造

ジフェニドール塩酸塩の化学名は、「1, 1-Diphenyl-4-piperidin-1-ylbutan-1-ol monohydrochloride」であり、分子中に2つのフェニル基を含んでいます。そのベンジル位に水酸基を持ち、第3級アルコールに分類されます。

炭素原子に結合した2つのフェニル基によって、全体の分子構造がが平面状に配置されるのが特徴です。また、直鎖状の炭化水素に結合したピペリジン環と水酸基によって、独特な立体構造と化学的性質が生じています。

ジフェニドールのその他情報

1. ジフェニドールの製造方法

ジフェニドール塩酸塩は1946年、Miescherらにより初めて合成されました。科学的な全合成によって製造されるのが一般的です。日本では「セファドール錠」という名称で、日本新薬株式会社から販売されています。

2. ジフェニドールの作用機序

ジフェニドールの作用機序は完全には明らかになっていませんが、前庭系機能障害側の椎骨動脈の血管攣縮を緩和し、血流を増加させることで、左右前庭系の興奮性の不均衡を改善し、めまいを軽減するとされています。

また、末梢前庭からの異常なインパルスを前庭神経核および視床下部で遮断し、平衡系のアンバランスを修正するという報告もあります。ジフェニドール塩酸塩は、アンジオテンシンIIによって攣縮した椎骨動脈を緩和し、血流量を増加させることが示されています。

また、患者の椎骨動脈血流障害に対して、血流量を増加させ、血流のバランスを是正することが認められています。健康な成人にジフェニドールを投与した場合、血中濃度は約1.6時間で最高値に達し、その後約6.5時間で半減します。

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