ジエチルケトン

ジエチルケトンとは

ジエチルケトンの基本情報

図1. ジエチルケトンの基本情報

ジエチルケトン (diethyl ketone) とは、示性式CH3CH2COCH2CH3または(CH3CH2)2COで表される、有機化合物の一種です。

分子内にカルボニル基を一つ含み、ケトン類に分類されます。IUPAC命名法に倣った表記では3-ペンタノンとなります。CAS登録番号は96-22-0です。

常温では無色からわずかにうすい黄色の液体で、アセトンのような臭いがあります。分子量86.13、融点-42℃、沸点101℃ 、密度は0.816g/cm3 (19 ℃) です。

非プロトン性極性溶媒で、エタノールベンゼンジエチルエーテルなどの有機溶媒によく溶けます。また、水にも少しばかり溶解します。水への溶解度は、1.7g/100mL (20℃) です。慣用名には他に、メタセトン、プロピオン、メトアセトン、ジメチルアセトンなどの名称があります。

ジエチルケトンの使用用途

ジエチルケトンの主な用途は、医薬の原料や有機合成材料などです。

有機低分子化合物の合成などの分野で、溶剤として使用されることがあります。アセトンやメチルエチルケトン (MEK) のほうが安価で危険性も低いため、ジエチルケトンが使用されることは比較的少ないとされてきました。

しかし、ジエチルケトンは、労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則に非該当であることから、作業主任者の専任等の義務が免除されています。そのため、近年溶剤としての使用が拡大しています。

ジエチルケトンの原理

ジエチルケトンの原理を合成方法と安全性の観点から解説します。

1. ジエチルケトンの合成

ジエチルケトンの合成

図2. ジエチルケトンの合成方法

ジエチルケトンは、工業的には主にプロピオン酸を金属触媒で酸化する方法で製造されています。また、オクタカルボニル二コバルトCo2(CO)8 触媒存在下において、エチレン一酸化炭素からジエチルケトンを生成することが可能です。

2. ジエチルケトンの安全性

ジエチルケトンの化学反応について

図3. ジエチルケトンの化学反応について

ジエチルケトンは引火点が13℃と低く、非常に引火性の高い液体です。また、比較的小さなエネルギーの静電気火花でも発火する可能性があります。空気とジエチルケトンの蒸気は爆発性混合気を生じるため、留意が必要です。

一般的なケトン類と同様の反応性を示し、アミン、酸化物、強還元剤、アミド、強い金属水酸化物などとは化学反応を起こす可能性があります。中には危険な反応もあるため、取り扱いの際は注意が必要です。特に、過酸化水素などによって生成するジエチルケトンの過酸化物は、爆発の危険を有します。

これらの危険性から、労働安全衛生法では、「名称等を表示すべき危険有害物」「名称等を通知すべき危険物及び有害物」に指定されています。消防法では、 第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体です。尚、PRTR法の規制には該当しません。

ジエチルケトンの種類

製品としてのジエチルケトンには、試薬用製品のほか、工業原料・溶剤用途での産業用製品があります。試薬用製品は、25mL , 100mL , 500mLなどの容量の製品があります。通常、室温保存可能な液体試薬です。

産業用途の製品ではドラム缶・石油缶・タンクコンテナなど大型容量 (150kg , 15MTなど) で流通しており、工業用溶剤としての大規模な使用に適しています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/96-22-0.html
https://www.nite.go.jp/

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