アルミ曲げ加工とは
アルミ曲げ加工とは、アルミニウム板などをさまざまな部品や製品などに使用するための曲げ加工方法です。
アルミ曲げ加工には、主に「ロール曲げ」「プレス曲げ」「ベンダー曲げ」の3種類があります。アルミニウムは、鉄と比較すると柔らかく、軽い素材で、加工性に優れています。
しかし、粘り気が少ないため、小さすぎる曲げRで加工すると割れやすいです。また、伸びてしまうことがあるので、板厚や材質、曲げRを考慮して設計、加工しなければいけません。
アルミ曲げ加工で作られる加工品は、製造メーカーや作業者の能力によって精度が変わってきます。また、加工機械でもできることと、できないことがあります。
アルミ曲げ加工の使用用途
アルミ曲げ加工は、アルミニウムで作られた製品に対して行います。アルミニウムの軽さや柔らかさや加工のしやすさなどの特性を生かして、アルミ缶から宇宙船まで、幅広い分野で採用されています。
加工の観点で述べると、アルミニウム板をロール曲げで加工したものは、建築物の丸柱に巻かれていたり、プラントの配管などにも使われていたりします。他にも、建物のエンブレムや看板、扉などはベンダー曲げ、またはプレス曲げによって作られています。
質量の観点で述べると、アルミニウムは鉄の3分の1程度の質量しかありません。アルミニウムの軽さを利用して、鉄や銅などでは重すぎて使えない製品にアルミニウムは利用される場合が多いです。身近な例として、近年の軽量化が進むスマートフォンが挙げられます。
アルミ曲げ加工の原理
アルミ曲げ加工は、アルミニウムを塑性変形させることが基本の原理です。ロール曲げやベンダー曲げで金型を作らずに成型させ、アルミニウムに塑性変形を起こさせます。
金型を使用しないため、金型製作の時間もコストも削減可能です。しかし、アルミの特性から割れや伸びに注意し、なるべく大きな曲げRで設計、加工する必要があります。
アルミ曲げ加工は、主に「ロール曲げ加工」「プレス曲げ加工」「ベンダー曲げ加工」の3種類があり、それぞれ加工方法が異なります。
1. ロール曲げ加工
ロール曲げは、金属板をロールに通して、巻き力で曲げる加工方法です。ローラーの距離を変化させて、金属板の形状を調整できます。幅広い板を曲げられます。
しかし、機械によっては加工可能なアルミ板の厚みに違いがあるため、アルミの特性を把握して加工をしなければならないのです。
2. プレス曲げ加工
プレス曲げは、金属を金型に押し込んで成形する方法です。細かく分けると「L字曲げ」「U字曲げ」「V字曲げ」と呼ばれることもあります。
一般的な曲げ加工と共通する点が多い加工方法で、一般的な曲げ加工と同様にプレス加工機を使用する加工になります。
3. ベンダー曲げ加工
ベンダー曲げは、金属をプレス機にて曲げたり折ったりする加工方法です。直角曲げだけではなく、V形状やL形状など、様々な形に加工できます。また、Z形状のような複雑な形にも加工できます。
しかし、ベンダー曲げに向いているのは薄いアルミ板で、厚みのあるアルミ板は向いていません。金型の設計についても熟練の技術が必要なので難しい加工方法です。
アルミ曲げ加工のその他情報
アルミ曲げ加工の注意点
アルミ曲げ加工は、割れや伸びに注意が必要です。ロール曲げやベンダー曲げで金型を作ることなく成型させ、アルミニウムに塑性変形を起こさせます。
金型を使用しないため低コストですが、デメリットとしてアルミの特性から割れや伸びが起こる場合があることが挙げられます。アルミニウムは引っ張られると、鉄の一様伸びとは異なり、局部伸びが発生します。また、伸びが一様にならないため、割れが発生する場合も多いです。
割れを防ぐためには、圧延方向と直角の方向への曲げ加工、曲げ幅を大きくする加工を行う必要があります。また、金型を用いたプレス曲げの場合は、アルミが柔らかいため、金型の摩耗や傷が表面に出やすい点にも注意が必要です。