金メッキ加工

金メッキ加工とは

金メッキ加工

金メッキ加工とは、素材の表面を金の被膜で覆う加工方式です。

金被膜を形成することで、耐食性や導電性、はんだ濡れ性などの性質を素材に付与できます。外観は金の特徴をそのまま有しており、優れた光沢を誇ります。

異種金属 (コバルト・ニッケル・銀など) と合金皮膜の形成も可能で、素材表面の下地にはニッケルや銅皮膜が選択されるケースが多いです。装飾品や半導体関係の工業用途で、広く採用されています。

金メッキ加工の使用用途

1. 装飾用途

装飾用途では、ネックレスやイヤリングなどの宝飾品、自動車のエンブレムや内装部品、仏具や時計部品などが例として挙げられます。外観を豪華に美しくするだけではなく、金の持つ耐食性によってサビなどから保護する目的も兼ねています。

メッキ液の組成を調整することで、光沢加減や色調のコントロールが可能です。

2. 工業用途

工業用途では、半導体部品や基板の接合部に採用されています。基板においてはその後の加工のため、導電性やはんだ濡れ性が重視される仕様です。

特に銅配線回路の酸化を防ぐために、ニッケルと金のメッキ加工を行っています。近年、基板性能の高度化が急速に進んでおり、微細な配線への加工用途が広まっています。機械加工では性能を損なう可能性があり、化学物質による加工技術は更なる需要が見込まれます。

皮膜硬度を向上させた硬質金メッキであれば、電子機器の端子部やコネクタ部といった、外部との接触回数の多い箇所に最適です。

金メッキ加工の原理

1. 電解メッキ

電解メッキは、通電による電解作用で還元反応が発生します。その中でメッキ液中の金属イオンが電子を引き受け、陰極に接続した素材に金属皮膜が析出する技術です。

導電性の高い箇所の皮膜が厚くなる傾向があり、全体の膜厚コントロールの難易度が高いです。

2. 無電解メッキ (置換反応タイプ)

無電解メッキは、化学物質の反応を利用したメッキ加工法です。置換反応とは、イオン化傾向差により液中で下地の金属皮膜が溶解し、代替で金が皮膜として析出する現象です。

液中の溶解許容量に達すると、溶解反応が止まり析出も無くなります。素材自体に導電性が無くとも加工可能であり、膜厚の均一性に優れています。

3. 無電解メッキ (自己触媒タイプ)

自己触媒タイプは、還元作用のある成分を元に金が析出し、そのまま触媒の役割を果たす作用のことです。連続的に析出反応が起こるため、厚膜仕様に適しています。

金メッキ加工のその他情報

1. 金メッキ加工皮膜の種類

軟質金メッキ
皮膜中の金純度が99.9%以上と非常に高く、とても柔らかい性質を持っています。はんだ濡れ性や熱伝導性にも優れ、半導体の接合部に適しています。硬度は50~80HVです。

硬質金メッキ
ニッケルやコバルト、銀、銅といった他金属と共析し合金皮膜を形成することで、より工業用途に特化させたメッキ加工法です。皮膜中の金純度は99.6%程度となりますが、耐摩耗性や皮膜硬度が向上しています。電解メッキでの加工が主流となり、硬度は200~300HVです。

2. 金メッキ加工の開発動向

有害物質への対応
金メッキ液中に安定化を目的として、シアン化合物を添加しているケースがあります。シアンは毒性があり、人体に有害な物質としてさまざまな法令で規制されています。

作業者や排水への負担も考慮し、代替となる成分が求められ、近年では亜硫酸や白金をベースとしたメッキ液の開発がなされています。しかしながら、性能面からシアン含有を許容している業者はまだまだ多いです。

無電解メッキによる硬質金メッキの実現
硬質金メッキは、電解メッキ法による析出が主流です。皮膜の硬質化には他金属成分を硬化剤として必要で、無電解メッキ法では金以外の成分をコントロールできない課題があります。

新たに促進剤成分を添加することにより、自己触媒タイプの形で硬質性の皮膜析出が確認できています。

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