ブタジエン

ブタジエンとは

ブタジエンの概要

図1. ブタジエンの概要

ブタジエンは分子内に炭素-炭素間の二重結合を2つ有する不飽和炭化水素です。異性体として1,2-ブタジエンと1,3-ブタジエンがありますが、「ブタジエン」と呼ぶ場合は工業的に重要な1,3-ブタジエンを指しています。

ブタジエンはナフサを基に製造されており、主にタイヤなどに使われるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)の原料として用いられます。ブタジエンは非常に引火性が高いガスであり、使用時は着火源の除去、十分な換気が必要です。また容易に重合反応が起こるため、貯蔵時は酸化防止剤、重合禁止剤を添加する必要があります。

ブタジエンの使用用途

ブタジエン(1,3-ブタジエン)は石油から製造されており、製造法としてはナフサのクラッキングで副生するC4留分から抽出、精製して製造する抽出法と、ブタンやブテンから脱水素して製造する脱水素法があります。

ブタジエンは主に合成ゴムの原料として用いられています。例えば自動車のタイヤなどに使われるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)などの原料にブタジエンが使われています。その他、ブタジエンはABS樹脂やナイロン66の原料にも使われています。

ブタジエンのその他情報

1. ブタジエンを原料としたゴムの構造異性体

1,3-ブタジエンは上記の通りブタジエンゴムなどの原料として使われます。ゴムはブタジエンの重合反応によって得られますが、ブタジエンは反応部位である二重結合が分子内に2つあるため、反応後のシス型とトランス型の割合が製造条件によって変わります。また、この他にも側鎖にビニル基が生成する1,2結合も重合によって形成されます。

ブタジエンの構造異性体

図2. ブタジエンの構造異性体

上記の構造異性体の割合は重合方法を変えることで変化させることが可能で、メーカーによって様々なブタジエンゴムが販売されています。シス型が多い高シスタイプのブタジエンゴムは樹脂全体の中でもガラス転移温度が低く(-105~-95℃)、低温特性に優れます。主な用途は自動車タイヤで、その他にOリングやガスケットなどにも使われています。低シスタイプは高シスタイプ同様に、ブタジエンゴムも自動車タイヤなどに使われているほか、樹脂の改質剤などにも使われています。

2. ブタジエンの安全性と法規制

ブタジエンは常温で気体の物質で、一般的には液化ガスとしてボンベに充填されて販売されています。ブタジエンは可燃性、引火性が極めて高いガスであり、取り扱い時は着火源となるものを取り除くこと、十分に換気された環境で取り扱うことが求められます。また、ブタジエンは重合反応を引き起こしやすいため、貯蔵時は重合防止剤、酸化防止剤の添加が必要です。

その他、ブタジエンは労働安全衛生法上のリスクアセスメント対象物質であり、変異原性が認められた物質でもあります。その他、PRTR法の特定第1種指定化学物質、高圧ガス保安法上の液化ガスにも該当します。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0181.html

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