エチレンジアミン

エチレンジアミンとは

エチレンジアミンとは、1級ジアミンの1種で、アンモニア臭のある室温で透明な液体です。

別名として、1,2-ジアミノエタン、1,2-エタンジアミン、ジメチレンジアミンなどがあります。主に他の化学物質を作るための原料として使用されます。

エチレンジアミンの使用用途

エチレンジアミンは、多くの化合物との反応性が高いため、新たな化学物質をつくる合成原料として使用されています。産業分野での例を挙げると、合成ワックス、除草剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、分散剤、腐食防止剤、洗剤、繊維表面処理などです。

医療分野の例では、抗ヒスタミン薬など化学的安定化剤として薬剤の合成、アレルギー性皮膚炎の診断を補助するためのアレルギー性上皮性パッチ検査など幅広い用途で使用されます。また、農薬関係では、殺菌剤、殺虫剤、除草剤などにも用いられます。

その他、キレート剤、コーティング剤、接着剤、イオン交換樹脂原料、ゴム薬品なども用途の1つです。

エチレンジアミンの性質

エチレンジアミンの化学式はNH2CH2CH2NH2で、エチレンの2つの炭素に結合する水素原子が1個ずつ、アミン基に置換された構造になっています。分子量は60.11で、密度は0.9g/cc、融点は8.5℃、沸点は117℃で、水、アルコールと自由に混和しますが、エーテルには微溶です。

強塩基性を示し、付着した生体組織部を腐食させます。また、加熱すると、窒素酸化物とアンモニアの有毒な煙が発生するため、取り扱いには注意が必要です。

不快なアンモニア臭があり、眼、鼻、のど、呼吸器系統に痛みと刺激を与え、まれに生命の危険を及ぼすこともあります。目や皮膚についた場合、多量の水で洗い流し、医師の手当てを受ける、濃厚な蒸気を吸入した場合は、新鮮な空気の場所に移動するこことが重要です。

エチレンジアミンのその他情報

1. エチレンジアミンの製造方法

エチレンジアミンは、エチレンジクロライドとアンモニアまたはアンモニア水との反応により生産されます。これらの原料を混合して、加圧下、110℃で加熱し反応させます。

ClCH2CH2Cl + 2NH3  / NH2H2CH2NH2 + 2HCl

反応により得られた生成物は、蒸留塔に送られます。そこで未反応のエチレンジクロライドは分離して反応槽へ戻されます。蒸留塔では40%苛性ソーダを振らせて、生成したアミン塩酸塩及び塩化アンモニアを中和し、遊離する過剰のアンモニアは反応塔に戻され再利用されます。

蒸留塔の底部から回収されるエチレンジアミンおよび食塩水を分離槽へ送り、分離槽で食塩水をエチレンジアミンから分離します。エチレンジアミンは精留塔で常圧、150~180℃で精製されます。残留分は沸点200℃以上のエチレントリアミン、およびポリアミンです。エチレンジアミンとトリアミン以上のポリアミンとの生成比率は2 : 1となります。

2. エチレンジアミンの多量体

エチレンジアミンはエチレングリコールと同様に、2量体、3量体などの多量体 (ポリエチレンアミン) が存在します。これらはエチレンジアミンの製造工程でも生成し、精留工程で分離されます。これらは一般式 NH2-(CH2-CH2NH)n-Hで表され、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどがあります。

ポリエチレンアミン類も、エチレンジアミンと同様に危険です。エチレンジアミンからテトラエチレンペンタミンまでが、「化学物質把握管理促進法では第1種指定化学物質」に、また毒物及び劇物取締法で「第2劇物」に指定されています。労働安全衛生法では、「エチレンジアミン、ジエチレントリアミンが引火性危険物、名称等を表示・通知すべき危険物及び有害物」に指定されています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/107-15-3.html                                                                       

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