エタノール

エタノールとは

エタノールとは、アルコールの一種であり、殺菌・消毒用の他、多岐な用途に使用される有機溶剤です。

揮発性が高く、保管時は必ず容器に密閉し、冷暗所に保管する必要があります。

エタノールの使用用途

エタノールの使用用途は非常に多岐にわたります。具体的な使用例は、以下のとおりです。

1. 消毒

消毒用アルコールとして、手指や皮膚、医療器具、手術部位の消毒用、病院の壁や床などを消毒するために使用されます。特に新型コロナウイルス感染症が発生以降、消費量が劇的に増加しています。

消毒用エタノールには、エタノールの他に約30%の水が含まれているのが一般的です。この濃度は、細菌やウイルスを効果的に殺菌するための適切な濃度とされています。水を混合することで揮発しにくくなり、消毒部位に殺菌成分がとどまる時間が長くなることで、殺菌効果が高まります。

2. 工業用途における溶媒

合成樹脂の塗料や塗料の希釈剤として利用されています。その他にも、ドラッグストアで掃除用洗剤として、エタノール濃度が99.5%以上である「無水エタノール」が販売されており、一般消費者でも購入し使用することができます。

3. 食品添加物

天然原料から作られた発酵エタノールは、食品の防腐用やみりんなどの調味料などに使用されます。また、エタノールの使用用途ではありませんが、エタノールは、アルコール飲料の主要成分の1つです。ビール、ワイン、ウイスキー、日本酒、焼酎などに含まれますが、酒類を製造する工程で発酵によりエタノールが生成しています。

エタノールの性質

エタノールは、化学式がC2H5OHで分子量46.07の無色透明の引火性のある液体です。融点は-114.1℃、沸点は78.5℃と低く、揮発性が高いので、常温であっても気化しやすい性質があります。消毒剤やヘアスプレーなどに使用される際に有効な性質です。

また、エタノールは水と混和しやすく、容易に水溶液を作ることができます。この性質は、エタノールを消毒液やマウスウォッシュの基材として使用する際に重要です。

引火点は12.0℃と低く、常温で火花などの着火源が存在すると引火して燃え出します。一般家庭や公共の場所においても広く用いられている消毒用エタノール (エタノールが約70%の水溶液) でも引火点は21℃であり、取扱いには注意を要します。

エタノールの種類

エタノールは原料、製法の違いから分類すると、合成エタノールとバイオエタノールの2種類に分類できます。

1. 合成エタノール

合成エタノールとは、石油や天然ガスなどの化石燃料から、合成されたエタノールのことです。合成エタノールは、バイオエタノールとは異なり、再生可能な原料を使用せずに製造されるため、環境に対する影響が問題視されることがあります。

合成エタノールは、化石燃料を原料としており、バイオエタノールに比べて製造コストが安く、製造量の調整も容易であるというメリットがあります。しかし、CO2排出量の観点から、環境に負荷をかけることが懸念されています。また、化石燃料の埋蔵量にも限りがあるため、持続可能な燃料としては限界があるとされています。

2. バイオエタノール

植物由来の原料 (バイオマス) を発酵させて製造されるエタノールのことです。バイオマスを利用することによって、化石燃料に頼らない環境にやさしい燃料として注目されています。

バイオエタノールは、エタノール自体の性質は同じですが、製造に使用する原料が植物由来であるため、化石燃料に比べてCO2排出量が低く、環境にやさしいとされています。また、バイオマスは再生可能な資源であるため、化石燃料の枯渇問題に対する解決策の一つです。

ただし、バイオマスの収穫や加工にはエネルギーが必要であることや、バイオエタノールの製造に必要なエネルギーが化石燃料に依存していることなどの課題もあります。

エタノールのその他情報

エタノールの製造方法

合成エタノールは、天然ガスや石油から得られるエチレンと水を反応させることにより製造します。

C2H4 + H2O → C2H5OH

この反応式では、エチレン (C2H4 ) と水 (H2O) が反応してエタノール (C2H5OH) が生成されます。この反応は、シリカなどに固定化したリン酸硫酸などの酸触媒の存在下で進行します。生成したエタノールは、水や副生成物との混合物として得られるため、蒸留や分離などの精製工程を経て、純度の高いエタノールが製造可能です。

バイオエタノールは、植物由来の原料 (バイオマス) を発酵させて製造されます。バイオマスの代表的なものとして、サトウキビ、トウモロコシ、ジャガイモ、てんさい、木材などが挙げられます。

これらの原料を粉砕して、繊維や糖分を取り出し、酵母などの微生物を加えて発酵させます。この過程で糖分がエタノールに変換されます。そこから蒸留によりエタノールを濃縮し、さらに精製して純度を高めると、バイオエタノールを得ることが可能です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1310-73-2.html

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