ヘキサノールとは
ヘキサノールとは、炭素数6のアルキルアルコールです。
1-ヘキサノール (英: 1-hexanol) は代表的なヘキサノールの1つであり、有機化合物のアルコールの一種で、無色の液体です。1-ヘキサノールはn-ヘキシルアルコールやヘキシルアルコールとも呼ばれます。
ココナッツ油やパーム油から製造される他、セルロースの変換における中間体として生成される物質です。「消防法危険物第4類」に分類されており、取り扱いには注意が必要です。
ヘキサノールの使用用途
ヘキサノールは、可塑剤の製造などで使用される溶剤や有機合成原料としての用途の他、界面活性剤や防腐剤、消毒剤、医薬、織物・皮革の仕上剤など、幅広く利用されています。嗅覚反応の研究において匂い物質として利用される他、芳香剤や香料の製造など、その匂いを利用した用途にも使用可能です。
特に3-ヘキサノールは、パイナップル等の植物の香りの原因となっており、風味を加える食品添加物として使用されます。化粧品にも、消泡剤・香料・溶剤・減粘剤等として配合されることがあります。
ヘキサノールの性質
1-ヘキサノールは水にはあまり溶けません。ただしアルコールやエーテルにはよく溶けます。特にエタノールやジエチルエーテルには非常によく溶解します。1-ヘキサノールの密度は25℃で0.8153g/cm³、融点は-51.6℃、沸点は157℃です。
直鎖構造のヘキサノールには、1-ヘキサノールの他にも、2-ヘキサノールや3-ヘキサノールがあります。2-ヘキサノールの密度は0.81g/cm³、沸点は140°Cであり、3-ヘキサノールの密度は0.819g/cm³、沸点は135°Cです。
ヘキサノールの構造
ヘキサノールは、ヘキサンの1つ水素がヒドロキシ基に変換した構造を有するアルコールです。ヒドロキシ基の位置や分枝によって、17種類の異性体が存在します。
具体的には、第一級アルコールが8種類、第二級アルコールが6種類、第三級アルコールが3種類です。
ヘキサノールのその他情報
1. 1-ヘキサノールの合成法
工業的に1-ヘキサノールは、エチレンのオリゴ化によって合成されています。トリエチルアルミニウムを使用して、ヘキシル鎖が生成した際に酸化処理することで、 1-ヘキサノールを得ることが可能です。他の鎖長のアルコールも生じるため、分留が必要です。
それに対して、1-ペンテンのヒドロホルミル化で生じるヘキサナールの水素化によって、1-ヘキサノールを合成できます。この合成法では混合物としてヘキサノールの位置異性体などが生じるため、可塑剤におけるそれぞれの原料として利用可能です。
2. 第一級アルコールのヘキサノールの構造異性体
図1. 第一級アルコールのヘキサノールの構造
第一級アルコールのヘキサノールには、主鎖の炭素数が6の1-ヘキサノール以外にも、主鎖の炭素数が5の2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノールが存在します。主鎖の炭素数が4のヘキサノールには、2,2-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2-エチル-1-ブタノールがあります。
3. 第二級アルコールのヘキサノールの構造異性体
図2. 第二級アルコールのヘキサノールの構造
第二級アルコールのヘキサノールには、主鎖の炭素数が6の2-ヘキサノールや3-ヘキサノールのほか、主鎖の炭素数が5の3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノールが存在します。主鎖の炭素数が4のヘキサノールには、3,3-ジメチル-2-ブタノールがあります。
4. 第三級アルコールのヘキサノールの構造異性体
図3. 第三級アルコールのヘキサノールの構造
第三級アルコールのヘキサノールには、主鎖の炭素数が5の2-メチル-2-ペンタノールや3-メチル-3-ペンタノールがあります。主鎖の炭素数が4のヘキサノールには、2,3-ジメチル-2-ブタノールが存在します。