ヘリウム

ヘリウムとは

ヘリウムとは、原子番号2の元素で周期表の第1群に位置する希ガス元素です。

化学式はHeで原子量は4.002602、密度は0.1786g/Lです。融点は-272.20℃で沸点は-268.93℃と非常に低温です。化学的に極めて安定であり、水素に次いで軽い気体であることから産業で広く利用されています。

ヘリウムの使用用途

ヘリウムの主な使用用途は下記の通りです。

1. 気球や飛行船の浮揚ガス

ヘリウムは非常に軽量で、気球や飛行船の浮揚ガスとして利用されています。不活性で水素よりも安全で爆発のリスクが低いため、多くの国で公共の場所での使用が認められています。

2. 半導体製造

半導体製造において、クリーニングは非常に重要な工程です。製造工程中に発生する微細な不純物や汚染物質を除去することで、半導体の品質を向上可能です。クリーニングガスとして利用されることがあります。特に、表面に付着した微小な不純物を取り除くために利用されます。また、半導体製造において極低温下での処理が必要となる場合があり、液体ヘリウムが広く利用されています。

3. 冷却剤

液体ヘリウムは、超伝導体を冷却するために利用されます。超伝導体は非常に低温でなければ効果を発揮しないため、液体ヘリウムは非常に重要な冷却剤となっています。また、磁気共鳴イメージングなどの医療用途にも利用されます。

4. 漏洩検査

漏洩検査においては、被検査物にヘリウムを注入して、漏れ出したヘリウムガスを検知することで、被検査物内部の漏れ箇所を特定することができます。ヘリウムは空気中に含まれる量が非常に少ないため、バックグラウンドノイズを抑制可能です。

漏洩検査においては、ヘリウムを利用した2つの方法があります。1つは、ヘリウムマススペクトロメータ法と呼ばれる方法で、被検査物にヘリウムを注入し、ヘリウムを検出するためのマススペクトロメータを使用する方法です。もう1つは、ヘリウムリーク検査法と呼ばれる方法で、被検査物を密閉し、外部にヘリウムを漏らしながら被検査物内部のヘリウム漏れを検出する方法です。

5. 光ファイバー

光ファイバーは、微細なガラス繊維から作られています。光ファイバーを製造する際には、繊維内部に光を伝えるための中心部分を作る必要があります。この中心部分を作るために、高純度のガスを使用します。この高純度のガスとして、ヘリウムが利用されます。ヘリウムは、非常に純度の高いガスであり、繊維内部の中心部分の作成に最適です。

6. 溶接

ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスは、金属のアーク溶接に利用されています。ヘリウムガスを溶接部に供給することで、溶融している金属と、空気中に含まれる酸素や窒素との化学反応を抑制することができ、高品質な溶接が可能となります。

7. 分析

化学分析においてヘリウムが利用されています。例えば、気体クロマトグラフィーのキャリアガスとしてヘリウムが利用されます。

ヘリウムイオンマイクロスコープは、ヘリウムイオンをビームとして利用することで、高分解能の画像を得ることができる装置です。ヘリウムイオンマイクロスコープは、従来の電子顕微鏡と比較して、高い解像度と表面のダメージが少ない特徴があります。

ヘリウムの性質

ヘリウムは、希ガス元素の中で最も軽量なものであり、非常に低い沸点と融点を持っています。このため、ヘリウムは常温・常圧下で気体として存在し、液体ヘリウムを得るには極低温下での処理が必要です。液体ヘリウムは熱伝導率が非常に高いです。

ヘリウムは非常に不活性な元素であり、化学的な反応性はほとんどありません。そのため、不活性ガスとして利用できます。

ヘリウムのその他情報

大気中に含まれるヘリウム

ヘリウムは、大気中に体積で0.0005%程度しか含まれていませんが、アメリカなど一部の地域から採れる天然ガス中に多量に含まれています。その天然ガスからの分離・精製が主な生産方法です。 大気中のヘリウムの含有量はわずかであるため、窒素や酸素のように空気からヘリウムを分離することは工業的には行われていません。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7440-59-7.html

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