ジメチルアミン

ジメチルアミンとは

ジメチルアミンとは、アンモニアの2つの水素がメチル基に置換されたメチルアミンの一種です。

魚の臭いがする常温常圧で気体の有機化合物で、別名としてN-メチルメタンアミンなどがあります。

ジメチルアミンの使用用途

ジメチルアミンは、気体の状態ではなく、水に溶かした水溶液の状態で使用されることが多いです。この水溶液は、他の化学品の原料として使用されたり、そのままの状態で使用されたりと用途は様々です。

具体的には、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの原料になります。そのままの状態で使用される場合は、シャンプーやトリートメントで帯電防止の目的で使用される界面活性剤や、触媒、殺虫・殺菌剤、医薬品 (抗ヒスタミン剤) 、ゴムの加硫促進剤、皮革の脱毛剤などに使用されています。

ジメチルアミンの特徴

ジメチルアミンの構造式は (CH3)2NHで、構造式からもわかるように、アンモニア (NH3) の2つの水素がメチル基に置換された構造をしています。分子量は45.08、比重が0.66g/ml (20℃) 、融点が-92.2℃、沸点が6.9℃であり、常温常圧で無色透明の気体、または加圧下で液化された無色透明の液体です。

極めて可燃性、引火性の高いガスで、吸入や付着による有害性も認められている物質です。ジメチルアミンは、アンモニアや他のメチルアミン同様に、強い魚の臭いであることが特徴ですが、アルカリ物質であるため、酸性のものと反応させると無臭化できることも知られています。アミン系の悪臭には、酸性の消臭剤を使用することが一般的です。

燃焼するとガスを発生させたり、皮膚や粘膜に触れると薬傷を起こしたりする危険があることから、安全性の面では注意が必要です。そのため、劇物取締法によって劇物にも指定されています。

ジメチルアミンのその他情報

1. ジメチルアミンの製造方法

ジメチルアミンは、最も基本的な構造をもつ第2級アミンです。工業的に生産する際は、アンモニアメタノールアルミナシリカを触媒として脱水反応することで生成します。

メチルアミンの合成
まずメタノールとアンモニアの混合物を、1.0~2.1MPaの加圧下で、アルミナやシリカなどの脱水触媒に450~500℃で通し、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンの3種類のメチルアミンの混合物を合成します。

  • モノメチルアミンの生成
    CH3OH + NH3 → CH3NH2 + H2O
  • ジメチルアミンの生成
    2CH3OH + NH3 → (CH3)2NH2 + 2H2O
  • トリメチルアミンの生成
    3CH3OH + NH3 → (CH3)3NH2 + 3H2O

脱水・蒸留によるジメチルアミンの分離
生成物を加圧下で蒸留して、原料のメタノールと生成した水を分離した後、アンモニアとトリメチルアミンの共沸混合物を除去し、モノメチルアミンとジメチルアミンを分離させることで得られます。

2. ジメチルアミンの安全性

ジメチルアミンはガスまたは水溶液として販売、利用されており、性状だけでなく、安全性や適用法規が異なります。水溶液でも引火性は高く、消防法で「第4類引火性液体・第一石油類・水溶性液体」に該当します。同様に労働安全衛生法、船舶安全法、航空法においても引火性液体となっています。

また、皮膚、粘膜を激しく刺激し、薬傷を起こすことがあります。繰返しの暴露は中枢神経を麻痺させ、頭痛、血圧上昇、貧血、興奮などの症状が現れます。高濃度のガスを吸入すると、肺水腫を起こすことがあり、ガスは毒劇物取締法で劇物に指定されています。

その他、以下のような危険性があるため、取扱いには注意が必要です。

  • 強酸化剤、酸、塩素と激しく反応する。
  • アルミニウム亜鉛、それらの合金に対して腐食性を示す。
  • 水銀との反応で爆発性物質が生成するおそれがある。
  • 亜硝酸塩や硝酸と反応して、極めて有毒なニトロソアミンを生成する。
  • プラスチック、ゴム、被覆材を侵す。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0589.html

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