オクタン

オクタンとは

オクタンとは、炭素数8個からなる飽和炭化水素 (アルカン) の総称です。

18個の構造異性体、6個の立体異性体があり、合計24種類の異性体が存在します。オクタンという名称は、直鎖状のn-オクタンを指す場合と、他の異性体を総称する場合があります。

オクタンは、原油および石油中に存在する引火性が高い無色透明の液体です。蒸気は空気より重く、地面に沿って移動することがあります。オクタンは、工業的にはナフサから分留して尿素によって精製します。

オクタンの使用用途

オクタンは、主に標準燃料、有機合成、共沸蒸留の溶剤として利用されます。具体的には、ニトロセルロースやアセチルセルロース、合成樹脂、アルコール可溶染料の溶媒、防湿セロハンの接着、速乾ワニス、エナメル」などです。また鉄や硫酸銀二硫化炭素の定量用試薬にも利用されます。

n-オクタンから枝分かれしたイソオクタンは、ガソリンのアンチノック性を示すオクタン価を測定するための標準物質として利用されています。また、燃料では、高オクタン価ガソリンを製造するための混合剤として配合されています。

オクタンの性質

n-オクタンの分子式はC8H18、分子量は114.22、CAS番号は111−65−9です。CAS番号とは、世界的に利用されている化学物質固有の識別番号のことです。オクタンは、無色透明の液体で、ガソリンのような特異臭があります。

融点・凝固点は−56.76℃、引火点は13℃、沸点・初留点及び沸騰範囲は125.67℃、自然発火温度は206℃です。蒸気圧は67.1mbar (50℃) 、比重は0.703 g/mL (25℃) 、燃焼又は爆発範囲は、下限 1.0 vol %、上限 6.5 vol %で、蒸気密度は3.9 (air = 1) です。

溶解性は、水にほとんど溶けず (溶解度 0.0007 g/L) 、エタノールアセトンに可溶で、ベンゼンと混和します。物質として安定ですが、燃えやすく、燃焼により、一酸化炭素二酸化炭素などの有害な分解生成物を発生します。

強酸化物質との接触により、火災や爆発が発生する危険性があるため、混色危険物質に強酸化物質が指定されています。

オクタンのその他情報

1. オクタンの有害性

GHSラベルに炎、感嘆符、健康有害性、環境が指定されています。GHSラベルとは、化学品の危険有害性を、世界的に統一された基準に沿って、絵表示等を用いてわかりやすく分類したものです。

人体への影響として、皮膚刺激性、強い眼刺激、眠気又はめまいの恐れがあります。飲み込み気道に侵入すると、生命の危険があり、特定標的臓器毒性および吸引性呼吸器有害性が高いです。

水性生物に非常に強い毒性があり、長期継続的影響によっても水生生物に非常に強い毒性をもたらします。廃棄時は、内容物を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄する必要があります。

2. オクタンを取り扱う際の注意点

保護手袋と保護衣を着用し、眼の保護具 (普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型) を着用することが推奨されています。接触、吸引又は飲み込まないよう注意し、取扱い後は、保護手袋を着用した場合でも、よく手を洗います。

設備は「防爆の電気」「換気 」「照明機器」の3つが必須です。また、静電気放電に対する予防措置を行う必要があります。万が一、眼または全身に暴露した場合、速やかに洗い流せるよう、作業場に洗眼器及び安全シャワーを設置しておくと、重篤災害を回避することが可能です。

また、引火性と有害性のある蒸気を発生させるため、屋外あるいは換気設備のある場所だと、安全に取り扱うことができます。

3. オクタンの保管方法

壁、床、柱は耐火構造とし、不燃材料で作ります。床は水が侵入、浸透しない構造とします。容器は密閉し、換気の良い冷所で、熱、火花、裸火のような着火物、混触危険物質である酸化剤から離して保管します。

また、オクタンは危険物第四類の引火性液体に分類されるため、消防法の規定に則った管理が必要です。取り扱う数量により管理方法や基準が異なるため、取扱ったり保管したりするときは、消防法の確認を行ってください。

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