オキシテトラサイクリンとは
図1. オキシテトラサイクリンの基本情報
オキシテトラサイクリンとは、細菌感染症の治療に用いる抗生物質です。
放線菌の一種から分離されました。テトラサイクリン系抗生物質 (英: tetracycline antibioticsまたはtetracycline class) に含まれています。
オキシテトラサイクリンは、細菌の30Sリボソームサブユニットに結合して、タンパク質合成を阻害するため、殺菌作用があると考えられています。
オキシテトラサイクリンの使用用途
オキシテトラサイクリンは、人医療向けのテトラサイクリン系抗生物質として、細菌感染症の治療に使われます。アクネ菌によるニキビの治療、クラミジア感染症、マイコプラズマ感染症、インフルエンザ菌、リケッチア感染症の治療に使用可能です。
また、動物用医薬品として承認されているテトラサイクリン系抗生物質の中で、最も多く使用されています。牛や豚などの家畜類、魚介類の医薬品や飼料添加物として使うことも可能です。
他には農薬としても使用されており、作物の細菌病に効果があります。
オキシテトラサイクリンの性質
オキシテトラサイクリンの化学式はC22H24N2O9、分子量は460.434g/molです。黄色の結晶でにおいはなく、苦味があります。水に溶けやすく、エタノールにやや溶けやすいです。炭化水素から構成される4つの有機環の誘導体を意味します。
オキシテトラサイクリンの生体内半減期は6〜8時間であり、テトラサイクリン系抗生物質の中でも短時間作用型です。
オキシテトラサイクリンのその他情報
1. オキシテトラサイクリンの有効性
オキシテトラサイクリンは、広い抗菌スペクトルを有します。細菌だけではなく、細菌よりも小さいリケッチアや大型ウイルスにも作用します。ただし、一部の抵抗性を形成している細菌には、有効性が低いです。具体的には、グラム陽性菌、グラム陰性菌、クラミジア、マイコプラズマなど、広範囲の抗菌力を持っています。
2. オキシテトラサイクリンの副作用
オキシテトラサイクリンを外用した場合には、塗布部位の瘙痒や腫張などに注意する必要があります。菌交代症を引き起こすときもあります。
オキシテトラサイクリンを内服した際の代表的な副作用は、胃腸症状や光過敏症です。稀に、カルシウム濃度が高い歯や骨のような器官に、ダメージを与えることもあります。
3. オキシテトラサイクリン以外のテトラサイクリン系抗生物質
図2. テトラサイクリン系抗生物質の化学構造
オキシテトラサイクリンに似た天然テトラサイクリン系抗生物質の具体例として、テトラサイクリンやクロルテトラサイクリンなどが挙げられます。クロルテトラサイクリンの構造は、テトラサイクリンの1個の水素を塩素に変えたものです。
4. オキシテトラサイクリンの関連物質
図3. ドキシサイクリンの化学構造
オキシテトラサイクリンは、中等度から重度のニキビの治療にも6〜8週間塗布されます。しかし、3ヶ月以上改善がないときには、他の治療法に切り替えるべきです。
海外でオキシテトラサイクリンは、クロストリジウム感染症やスピロヘータ感染症などの治療にも使用されます。眼、耳、呼吸器、皮膚、尿路などの感染症の治療に用いられることもありますが、近年は耐性菌が増えているため使用頻度は減っています。ただし、ペニシリン系薬剤やマクロライド系薬剤にアレルギーを持っている患者に用いることも可能です。
マクロライドやキノロンの代わりとして、レジオネラ症の治療にも、オキシテトラサイクリンを使うことが可能です。ブルセラ症、ライム病、チフス、コレラ、野兎病だけでなく、マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア感染症に対しては、薬理学的特性の改善されたドキシサイクリンが選ばれやすいです。