ハニカムコアとは
ハニカムコアとは、六角形柱を隙間なく並べた構造体のことです。
ハニカムは蜂の巣を意味し、蜂の巣のような穴の開いた形状をしています。構造上90%以上が空気のため、軽い素材です。また、強度や衝撃吸収性もあり、軽さと強度が求められる用途に用いられています。
多くの空隙をもつことから、流れを一定方向に整える整流作用もあります。整流作用を利用し、ショーケースや風洞の整流板にも有用です。
ハニカムコアの使用用途
ハニカムコアは、軽量性と高い剛性が求められる分野で使用されており、理想的な材料として活躍しています。
1. 航空宇宙産業・自動車産業
飛行機や宇宙船の構造材料、自動車のボディパーツや自転車のフレームなどに使用されています。ハニカムコアは軽量でありながら剛性が高く、航空機の燃費向上や高い安全性を実現するのに役立ちます。
2. 建築業界
建物の外装パネル、内部の仕切り壁や天井材に使用されることがあります。軽量なため、建物全体の重量を軽減し、地震などの自然災害に対する耐久性を向上させることができます。
3. スポーツ用品
スキー板やスノーボードなどの製品に使用されることがあります。
ハニカムコアの性質
ハニカムコアは、構造から非常に高い剛性を持っています。剛性とは、物体が変形することなく外力に対して抵抗する能力のことです。ハニカムコアはその剛性から、衝撃を受けた際にも変形しにくく、安定した性能を発揮します。
内部のほとんどが空気なので、断熱性も高く、断熱用途にも有用です。特に素材自体の熱伝導性の低いペーパーハニカムは、優れた断熱性を示します。
ハニカムコアの種類
ハニカムコアには、アルミハニカム、アラミドハニカム、ペーパーハニカムなどがあります。
1. アルミハニカムコア
金属性のハニカムコアには様々なものがありますが、アルミは金属の中でも軽く、また圧縮強度にも優れています。アルミ箔をハニカム構造に成形したもので、軽さと強度を生かして、自動車、電車、航空機など、様々な分野で使われています。
2. アラミドハニカムコア
プラスチック製のハニカムコアには様々なものがありますが、その中でも強度、耐熱性に優れるアラミドを原料にしています。アラミドは引張強度、耐衝撃性、軽量性、柔軟性が高いです。その他、耐火性、化学薬品や熱に対する安定性も備えています。
アルミハニカムにとって替わり、航空機での使用が増えています。ただし、樹脂がもつ吸湿性による寸法変化、価格が高いなどの短所もあります。
3. ペーパーハニカムコア
紙をハニカム構造に成形したものです。紙はクラフト紙が用いられます。アルミやアラミドよりも軽量性に優れています。また、リサイクルが可能なため、環境にも優しい素材です。建材、梱包用品、展示スペースの仕切りなどで使われています。
紙であるため、耐水性や熱への安定性に弱点があります。現在では弱点を補う際に、表面に多孔質シリカの被膜をつける方法があります。
ハニカムコアのその他情報
ハニカムコアの製造方法
ハニカム構造は、シートを接着剤で張り付けて作製されます。作製方法には展張法とコルゲート法がありますが、展張法が一般的です。ここでは展張法の原理を説明します。
1. 材料切り出し、前処理
最初に原料ロールから、必要な分だけ切り出し、シート状にします。切り出したシートは前処理で脱脂を行います。金属材料の場合、エッチングを行います。
2. 積層
前処理が終わったら、シートに接着剤を塗布します。接着剤は全体に塗布するのではなく、一定間隔で線状に塗る部分と塗らない部分を作ります。接着剤を塗布したシートを何層にも重ねていきます。
3. 展張
重ねたシートを展張する (折りたたんだ状態から広げる) ことで、接着剤が塗られていない部分が持ち上がり、ハニカムコアが形成されます。用途により、ハニカムコアの両面に表面材を張り付けて、サンドイッチパネル構造にする場合があります。この場合は、張り付ける面の表面処理を行います。
参考文献
https://www.snfcore.co.jp/merit/
https://nikkal.net/archives/2009/03/a.html
https://kasyu-kogyo.com/2019/04/27/honeycomb/
https://dawnpendleton.com/
http://hexajapan.co.jp/product2.html
https://www.d-sinei.com/products/paper-honycomb/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/materia1962/24/6/24_6_471/_pdf