プロピオン酸

プロピオン酸とは

プロピオン酸の構造

図1. プロピオン酸の構造

プロピオン酸は炭素数3の飽和脂肪酸であり、特異な臭気をもつ無色透明の液体です。

プロパン酸とも呼ばれ、水やエタノールアセトン等に非常に溶けやすい性質を持っています。プロピオン酸は、プロピオニトリルの加水分解、または1-プロパノールの酸化等により生成されます。

消防法による第4類危険物に分類されており、粘膜刺激、腐食性等の有毒性があるため、取り扱いには注意が必要です。プロピオン酸は、微生物の代謝産物として自然界にも存在しており、味噌や醤油、チーズ等の発酵食品に含まれています。

プロピオン酸の使用用途

プロピオン酸はカルボン酸の一種で、無色で油状の液体です。化学式はCH3CH2COOHで表されます。

プロピオン酸は、医薬品、除草剤、香料、樹脂など、さまざまな産業用途に使用されています。
また、カビや細菌の増殖を抑制する作用を持つため、保存料としても一般的に使用されています。

1. 有機合成分野での利用

プロピオン酸は、溶剤や溶解補助剤、エステル化剤等として非常に有用な化合物であり、様々な分野で利用されています。

例えば、ポリプロピレンやアクリル繊維など、さまざまなポリマーやプラスチックの製造に使用されます。
また、医薬品原料としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の製造に使用されることもあります。

2. 香料原材料としての利用

プロピオン酸エチルの構造

図2. プロピオン酸エチルの構造

プロピオン酸は独特の匂いを持つことから、果実香料の原料として用いられます。例えば、プロピオン酸の誘導体であるプロピオン酸エチルは、パイナップルのような独特の香りを有しており、食品香料として用いられています。

3. 抗菌活性と防カビ剤としての利用

天然物としてのプロピオン酸はチーズに多く含まれており、カビの生育を抑える効果が経験的に知られていました。このような背景から、本化合物は静菌効果を期待した食品添加物として利用されています。

現在ではプロピオン酸は化学合成によって得られており、チーズ、パン、洋菓子の添加物として使用されます。

また、プロピオン酸はpH調整剤や防腐剤として、シャンプーなどの添加剤や、家畜の飼料添加物としても幅広く使用されています。

プロピオン酸の性質

1. 名称
和名:プロピオン酸
英名:propionic acid
IUPAC名:propanoic acid

2. 分子式
C3H6O2

3. 分子量
74.08

4. 融点
-20.83℃

5. 溶媒溶解性
水、エタノール、クロロホルム、エーテルに易溶

プロピオン酸の構造

プロピオン酸は、分子式C3H6O2、分子量74.08 g/molの有機化合物で、直鎖状カルボン酸の一種です。

プロピオン酸は、常温常圧下で無色透明な液体であり、特有の酸っぱい臭いを持ちます。水には可溶ですが、油や有機溶媒には不溶です。

プロピオン酸は比較的安定な化合物であり、酸化、還元、熱分解などの反応性は比較的高くありません。しかし、プロピオン酸は強い酸化剤と反応すると引火性を示します。また、高濃度の蒸気は刺激性を示すため、取り扱いには注意が必要です。

プロピオン酸のその他情報 

プロピオン酸の製造方法

プロピオン酸が自然界に存在することは稀であり、多くは化学合成によって得られます。直接的な合成法と間接的な複製法があり、日本においては他の化合物を合成する際の副生成物として得る方法が一般的です。

そのうち、収量が多く一般的なのが、酢酸製造においてナフサを直接酸化する際に副生するプロピオン酸を回収する方法です。

直接的な合成方法としては、n -プロパノールやプロピオンアルデヒドの酸化、プロピオノニトリルの加水分解、あるいはエテンおよび一酸化炭素を原料とする方法がありますが、複雑な工程が必要であるため一般的ではありません。

また、一般にプロピオン酸菌と呼ばれる、Propionibacterium freudenreichiiなどの細菌を用いて炭水化物を発酵させる方法も知られています。

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