クレオソート油

クレオソート油とは

クレオソート油 (英: Creosote oil) とは、石油から得られる抽出油で、多様な有機化合物の混合物です。

クレオソート油は、石油から得られるコールタールを、さらに約200℃から約400℃で蒸留することによって得られ、トルエン等の芳香族炭化水素やナフタレンアントラセン等の多環芳香族炭化水素、フェノール等のタール酸類、ピリジン等のタール塩基類など、多種類の物質が含まれています。

クレオソート油は、主にカーボンブラックとしてタイヤ等のゴムの原料に用いられるほか、木材の防腐剤・防水材として使用されています。クレオソート油は消防法により、第4類危険物の第3石油類です。

クレオソート油の使用用途

クレオソート油は、主にカーボンブラックとしてタイヤ等のゴムの原料として用いられるほか、黒色インクやコピー機のトナー等、他にも様々な黒色樹脂の補強材料として用いられています。

また、クレオソート油を木材表面に塗布することにより木材への水分の吸着を抑えることができるため、木材の防腐剤・防水材としても知られています。クレオソート油を塗布した木材の使用用途は、桟橋などの水中の建造物、鉄道の枕木、ログハウスなどです。

その他のクレオソート油の用途として、海水中のコンクリート杭への汚れの付着を防ぐための保護剤や、金属部品の潤滑剤、鳥獣の忌避剤、殺虫剤などが挙げられます。

クレオソート油の性質

クレオソート油はCAS番号8001-58-9の有機化合物で、独特の強いにおいを持つ茶褐色の液体です。クレオソート油は芳香族炭化水素類やタール酸類など多種多様な化合物の混合体であるため、分子量は定められていません。

厚生労働省による職場の安全データシートによると、クレオソート油の引火点は66℃以上、沸点は200℃以上です。クレオソート油は水に不溶で、ジエチルエーテルエタノールなどの様々な有機溶剤に良く溶けます。

クレオソート油の別名は、クレオソート、石炭クレオソート、工業用クレオソートなどがあります。厚生労働省による職場の安全データシートや日本国内の大手試薬メーカーのウェブサイトでの名称は、主に「クレオソート油」または「クレオソート」です。

クレオソート油のその他情報

1. クレオソート油の有害性

クレオソート油は、皮膚刺激および眼刺激を有しているため、クレオソート油を使用する際は、保護手袋、保護眼鏡など皮膚と眼を覆う保護具の着用が推奨されています。また、クレオソート油は遺伝性疾患や発がんのおそれも指摘されている化合物であるため、よく換気された場所で取り扱ってください。

クレオソート油は、容器を密閉したうえで換気の良い場所での保管が必要です。

2. クレオソート油の使用上の注意

クレオソート油は、消防法により第4類危険物の第3石油類に定められている引火性の危険物です。引火点は66℃以上と比較的高温ですが、一度クレオソート油に引火すると燃焼温度が高いため消火が困難です。

また、クレオソート油は刺激性・腐食性の有毒なガスを発生させながら燃焼する性質を持ちます。クレオソート油を使用する場合は、周りに熱源や火花を発生する機器がないことを事前によく確認してください。

クレオソート油による火災が発生した場合は、放水や水噴霧は使用せず、必ず泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類などによって対処する必要があります。また。クレオソート油は環境中に放出してはならない化合物です。クレオソート油を廃棄処分する場合は、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼してください。

3. クレオソート油の輸送上の注意

クレオソート油は消防法で定められた危険物であるため、輸送時は消防法の規則に従う必要があり、具体的には、食品や飼料との混載をしない、直射日光を避ける、重量物を上積みしないなどが挙げられます。また、クレオソート油の移送時は、イエローカード (化学物質の輸送時の事故に備えた緊急連絡情報を記載したカード) の保持が必要です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/61789-28-4.html

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