水中カメラ

監修: 炎重工株式会社

水中カメラとは

水中カメラとは、その名の通り、水中を撮影することができるカメラです。通常の陸上で使用されるカメラと行えることは同じで、写真や動画の撮影、監視などをすることができます。

水中で使用するため、防水加工が必須となります。近年では、防水に関する規格を満たしているカメラ、スマートフォンなどが多く販売されていて、それらは、防水カメラと同等のことをすることができます。しかし、水深が深くなると水圧がかかるようになりますし、長時間使おうとすると、それもカメラ本体や防水加工に対してストレスをかけることになります。そのため、規格に定められている以上に過酷な環境下におくと、防水加工が耐えられず、浸水してしまいます。水中カメラは、防水という点に特化しているので、防水カメラやスマートフォンに比べて、過酷な環境でも使用できるような防水加工がされています。

水中カメラの使用用途

水中カメラは、写真や動画の撮影、監視などをすることができ、ホビーや趣味の領域で多く用いられています。例えば釣りでは、岸壁や釣り船の上から水中にカメラを沈めて撮影することで、そのポイントに魚がいるかどうか確認するのに使われます。また、スキューバダイビングでは、水中カメラを持っていって、水中の風景などを撮影するのに使われます。水族館などで、水槽の中に作業員の方が入っていき、魚を近くで撮影した映像を見たことがある方もいるでしょう。その時使われているカメラも水中カメラの一種です。

研究用途においても用いられており、大学や漁協・漁業協同組合が主体となって、海底の調査・研究や漁礁周辺の水産資源の調査などが全国で行われています。東日本大震災の際にも水中・海底調査の分野で水中カメラが大活躍しました。


産業用途においても利用が盛んになってきています。例えば水産業では、養殖いけすや定置網の点検、船底点検などの船舶管理に用いられています。建設業では、水中工事をする際の水中確認、ダムや岸壁などの点検といった水利施設・港湾管理、浚渫工事や港湾工事の事前調査などに使われています。

水中カメラの防水について

防水に関する規格「IPX」が国際的に採用されています。「IPX」は、IPX0からIPX8まで9段階で規定されています。保護の程度はIPX0が「特に保護されていない」、IPX8が「水中での使用が可能」と規定されていて、数字が大きいほど防水性能が高くなります。IPXにそった、水中カメラや防水カメラ、防水スマートフォンは多く販売されています。しかしながら、IPX8の「水中での使用が可能」という規定は不明瞭で、具体的なテスト方法が存在していません。IPX8として認められているものであるため、IPX7で規定される、水面下15cm~1m、30分のテストはクリアしていると考えられますが、それ以上どのような環境で使用できるのかがわからないという問題があります。 それを解消するため、水中カメラを取り扱う各メーカーでは、独自に使用する環境を想定して、水深や使用できる時間の長さなどに関するテストを行い、使用できる環境を示しているメーカーがほとんどです。中には、水中カメラ本体の防水性能では足りず、追加して部品を取り付けることで防水性能を高める製品もあります。水中カメラを選定する際には、使用する環境にその水中カメラの防水性能が耐えられるかどうか確認が必要です。

水中カメラの市場規模

世界の水中カメラの市場規模は、2020年に56億5,000万米ドルとなり、2021年から2030年にかけて13.90%のCAGRで拡大し、2030年には188億1,000万米ドルに達すると予測されています。 (引用 水中カメラの世界市場:タイプ別(デジタル一眼レフ[DSLR]、ミラーレス、コンパクト)、流通チャネル別(オンライン、オフライン)、アプリケーション別(パーソナル、コマーシャル)の市場機会分析および業界予測(2021年~2030年).株式会社グローバルインフォメーション.https://www.gii.co.jp/report/amr1030113-underwater-camera-market-by-type-digital-single.html(最終閲覧2021/11/29))

選定時に注意すべきポイント

水中カメラ選定で課題となるのは、水圧です。水圧は、水深が10m深くなるごとに1気圧ずつ大きくなっていきます。サルベージを行う際の調査や海底の調査・研究など水深が深いところで使用する際には特に問題となり、それ相応の防水性能が必要とされます。

また、水深が深くなるほど暗くなり、ライトが必要となります。ライトやカメラの稼働に必要な電源も問題となってきます。水中カメラは、カメラ機構の外側に防水加工を施しています。そのため、水中で中を開けることができず、バッテリーを交換することができません。バッテリーでは使用できる時間が限られ、長時間使用しようとすると外部から電源を供給し続ける必要があります。

そのほかにも、電波がほぼ使用できなくなるという問題もあります。私たちが地上で使っている電波は、水中に入ると空気とは比べ物にならないほど大きく減衰します。Wi-Fiや携帯電話などで用いられる高周波域の電波は、水中に入ると数センチで減衰し、届かなくなります。通常の陸上で使用されるカメラでは、Wi-Fiなどを経由してリアルタイムで撮影している映像を確認するということが容易にできます。ところが電波が使用できない水中では、リアルタイムに映像を伝送するためには有線での接続が必要になります。

水中カメラの産業利用について

単純に“水中”と表現しても、海と湖ではその環境は異なり、それに応じた対応が必要となります。特に産業利用の水中カメラは使用時の環境が複雑な場合も多く、安易に市販品を選ぶと失敗してしまうことも少なくないでしょう。しかし、適切な水中カメラを選定することによって、潜水士が危険を伴いながら作業していた事を代替することができたり、潜水士が行くことができなかったより水深の深い場所の確認や長時間の点検ができるようになったりします。また、近年では、特殊な加工技術や素材の開発により、水中カメラの活躍の場は水中だけではなく、ケミカルタンク溶解炉の中やなどにも広がりつつあります。 水中カメラの産業利用を検討されている際は、専門のメーカーに問い合わせてみてください。

 

 

本記事は水中カメラを製造・販売する炎重工株式会社様に監修を頂きました。

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