ケレン

ケレンとは

ケレン(英語:Keren, Kelen, Kellen)は、主に鉄部表面の黒皮や錆び、付着している汚れを落し、被塗装面(塗装を施工する面)を清浄する作業と、その洗浄された素地調整状態の程度を表す一般呼称になります。語源は英語のクリーン(Clean)に由来するといわれています。

鉄部表面の黒皮や錆び、付着している汚れを、ワイヤーブラシやディスクサンダー、ブラストなどで除去します。除去する方法や使用する工具により除去できる程度が変わり、その程度をケレン 1種から4種までの指標で表します。

ケレンの使用用途

ケレン(素地調整)を行う目的は2つあり、1つは被塗装面の調整、2つ目は塗料の付着性も向上になります。

  1.  塗装面の調整
    塗布前に黒皮(鋼材を熱1つした際に発生する黒い2つ物)・錆・塩分・水分・粉塵などの付着物を可能なかぎり除去し、塗料の塗膜が被塗装面にしっかり密着させるために行います。
  2.  塗膜付着性の向上
    塗膜の付着性を向上させるために、被塗装面に微細な凹凸をつけます。平滑な被塗装面と比較して凸凹(アンカーパターン)になることで表面積が増し、被塗装面に微細な凹凸に塗料を入り込ませ、塗膜を定着させ剥がれ難くします。この方法をアンカー効果(投錨効果)といいます。

ケレンの選び方

ケレンの処理の程度は、1種から4種まであり、それぞれの程度の内容と使用する工具などが異なります。1種から順に処理程度の精度が高くなります。

  • 1種ケレン
    表面状態:全ての黒皮・錆・汚れを完全に除去され、表面積の95%には明瞭な残存物がない状態です。
    処理方法:ショットブラスト、サンドブラストなどで施工します。

  • 2種ケレン
    表面状態:完全に固着した黒皮を残し、固着していない黒皮・錆・汚れは完全に除去され、少なくとも表面の 2/3 には明瞭な残存物がない状態です。
    処理方法:ディスクサンダー、ワイヤホイール、グラインダーなどで施工します。

  • 3種ケレン
    表面状態:浮いた錆・旧塗膜・汚れを除去し、表面がかすかに金属光沢の状態です。
    処理方法:ワイヤーブラシ、スクレーバーなどで施工します。

  • 4種ケレン
    表面状態:活膜(塗膜の美観が損なわれてもなお素地に対する付着性を保ち、保護膜として機能する塗膜)は残し、それ以外の錆や汚れを除去した状態です。
    処理方法:ワイヤーブラシ、スクレーバーなどで施工します。

    ケレンによる素地調整の程度は、一般呼称のため規格で規定されたものではありませんが、ケレンと他規格の程度との相当は下記の通りで、比較対称の規格は ISO 8501-01、SSPC(Steel Structures Painting Council USA 米国鋼構造物塗装協会)、SIS(Svenska Standard SIS 05 5900 スウェーデン規格)があります。

    1種ケレンは、ISO および SISで Sa3/Sa2, SSPCで SP-5/SP-10
    2種ケレンは、ISO および SISで St3, SSPCで SP-3
    3種ケレンは、ISO および SISで St2, SSPCで SP-3
    4種ケレンは、相当は無し

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です