電工ナイフとは
電工ナイフとは、主に電気工事のケーブル加工に使用されるナイフです。
アウトドアやDIYで使う人もいます。電気工事のケーブル加工は、カッターナイフやワイヤーストリッパーでも可能です。
しかし、太いケーブルなどは加工しにくいため、電工ナイフは電気工事の現場では欠かせないものとなっています。
電工ナイフの使用用途
図1. VVFケーブル
電工ナイフの主な使用用途は、電気工事におけるケーブルの切断や被覆むきです。電気工事では、VVF (ビニル絶縁ビニルシースケーブル平型) やCV (架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル) といったケーブルがよく使われます。
これらのケーブルを端子につないで使えるようにするには、絶縁被覆 (ビニル絶縁や架橋ポリエチレン絶縁) と外部被覆 (ビニルシース) を取り除いて、内部の導体 (銅線) をむき出しにする必要があります。この被覆むきの作業において、電工ナイフはどのような形状または太さのケーブルでも加工が可能です。
電工ナイフの原理
図2. ケーブルの深い傷
電工ナイフは、カッターナイフに比べて刃が厚く、切れ味も適度に鈍いのが特徴です。ケーブルの被覆をむく際に切れ味が良すぎると、傷つけてはいけない部分にまで刃が深く入ってしまうことがあります。
絶縁被覆に深い傷がついていると、感電や火災につながる恐れがあり危険です。また、導体が深く傷つくと折れやすくなるため、接触不良や断線の原因となります。
電工ナイフは切れ味が適度に鈍いため、刃の入り具合を調節しやすいです。また、刃が厚いため、力を入れてもカッターナイフのように折れる心配がありません。
電工ナイフの種類
電工ナイフは、形状や素材にいくつか種類があります。また便利な付加機能がついている製品も出ています。
1. 形状による分類
図3. 固定刃型と折りたたみ型
電工ナイフの形状は、固定刃型と折りたたみ型の2種類があります。
固定刀型
固定刃型は、刃を鞘に収納するタイプです。鞘から取り出したら、そのまますぐ作業に入れます。電工ナイフを頻繁に使用する場合は、固定刃型のほうが向いています。
また、固定刃型は刃とグリップが完全に固定されているため、作業時に刃がグラつきません。可動部がないため、壊れるおそれも少ないです。
折りたたみ型
折りたたみ型は、刃をグリップ部に折りたたんで収納するタイプです。コンパクトに収納できるため、携帯性に優れています。また、折りたたみ型には替刃式の製品もあり経済的です。
2. 刃の素材による分類
電工ナイフの刃は、ステンレス製と鋼製の2種類があります。
ステンレス製の刃
ステンレス製の刃は、硬く耐久性があり、サビにくいです。使う頻度が少ない場合は、お手入れ不要のステンレス製が向いています。
ステンレスは研ぐことが難しいため、切れ味が悪くなったら替刃交換か買い直しが必要です。
鋼製の刃
鉄に炭素を混ぜた鋼製の刃は、ステンレスとは違いサビやすいです。しかし、研ぎやすいためメンテナンス性が高く、手入れをすれば長く使えます。また、自分好みの切れ味にできるカスタム性もあります。
3. グリップの素材による分類
電工ナイフのグリップは、ゴム製、プラスチック製、木製の3種類があります。
ゴム製
ゴム製のグリップは、滑りにくいため安全性が高いです。誰もが使いやすいグリップです。
プラスチック製
プラスチック製のグリップは、衝撃に強いのが特徴です。また、軽量なため腕が疲れにくいです。
木製
木製のグリップは油分や水分を吸収するため、使い込むほど手に馴染みます。
4. 付加機能による分類
電工ナイフは基本的にシンプルな作りですが、製品によっては便利な付加機能を備えています。たとえば、VVFケーブルの割線や被覆むきのできる穴がついていたり、バリ取り用の刃がついていたりします。
活用すれば、作業の効率化が可能です。また、刃の先端部分が平刃になっており、ノミのように使用できるものもあります。
貫通式になっているため、グリップの末端をハンマーで叩けます。壁にコンセント用の穴をあけたい場合などに便利です。