屈曲試験とは
屈曲試験とは、ロボットケーブル、光ファイバケーブルなど、曲げ回数が増えるごとに材質自体が劣化しそうな製品に対し、あえて繰り返し曲げを加えることで耐久性を確認する試験のことです。
ケーブルや電線など細長いものに関しては、ケーブル自体の重みで線が曲がったり、配線の過程で曲げを加えてしまったりすることがあります。曲げに対して耐久性が弱いと、断線を起こす危険があるため、屈曲試験が必要です。
屈曲試験は別名折り曲げ試験と呼ばれ、曲げ試験の一種です。曲げ試験には、支点が2つで作用点が1つの3点試験、支点が2つで作用点が2つの4点試験があります。ケーブルが配線で曲がる過程では、3点試験と同じ状況であるため、主に3点試験が使用されます。
しかし、ケーブルの耐久性を調べるにあたり、3点試験と4点試験を使い分けることもあるため、目的に応じた試験方法を選ぶことが大切です。
屈曲試験の使用用途
屈曲試験は、電源のケーブルや配線器具などを曲げてケーブルの耐久性を調べるために使用されます。屈曲試験では様々な方向に曲げた際の耐久性を確認し、ケーブルが所期の耐久性を有しているのかを調べるのが目的です。
ケーブルは、製品に応じて曲がる方向なども異なります。そのため、曲げる方向やねじりに応じて試験方法も異なり、それぞれの製品によって試験内容がカスタマイズされています。例えば、屈曲試験では3点試験や4点試験が使用されます。また、ねじりによる外力の耐久性を調べるために、ねじり試験を使用する場合もあります。
通常、電線やケーブルなどに使用することが多いですが、その他にも伸び縮みの激しいゴム製品や、薄い光学フィルムなどに割れやちぎれがないかを確認する目的で使用されることも多いです。
屈曲試験の原理
屈曲試験は、ケーブル状のようなものを治具を使って強制的に曲げることで成り立ちます。通常、Rがついたマンドレルと呼ばれる治具の間にケーブルを挟み込み屈曲させます。治具による試験は、曲げ試験の3点試験の原理と同じです。
Rの数値が異なる治具を使用することによって、曲げたい角度などを設定することが可能です。曲げ操作を繰り返し、耐久性を確認することが目的です。屈曲試験は、治具のRの曲面に沿って試験サンプルを曲げるような試験方法になるので、正しい耐久性を評価するためには治具選びも重要になってきます。
また、屈曲試験と併用してケーブル状のものの耐久性を評価する試験が捻回試験やU字折り返し試験です。屈曲試験同様、試験サンプルに対し強制的にねじりや折り返しをすることで耐久性を確認していきます。捻回試験やU字折り返し試験などを総称して耐久試験と呼ばれ、試験サンプルの使用用途や加工工程によって必要な項目が変わってきます。
屈曲試験のその他情報
その他試験方法
屈曲試験では、曲げ試験とは別に捻回試験やU字折り返し試験が必要です。また、曲げ試験の3点試験と同様の原理による試験機もあります。
試験方法ごとによって評価する現象も変わります。例えば、捻回試験はねじりの現象を評価し、U字折り返し試験は曲げの現象を評価します。
1. 捻回試験
捻回試験は、ケーブルがねじれた場合の耐久性を調べる試験です。耐久試験機にケーブルをセットし、治具でケーブルの両端を支えた後に、ケーブルに曲げを加えます。
2. U字折り返し試験
U字折り返し試験は、曲げたケーブルの上部に治具を添えて、外力を加える試験です。並列にケーブルを並べて、多くのケーブルを一度に試験できる試験機もあります。
3. 3点試験
3点試験は、試験片である材料の両端を支えて中央に外力を加える試験です。両端で2点、中央で1点の計3点に外力が加わることから、3点試験と呼ばれています。
3点試験は、材料の曲げ加工に似た外力を加えるため、曲げ加工を行うのに適した材料かを調べるのが目的です。ケーブルの耐久性を調べる屈曲試験では、試験機の両端を治具で支え、中央に外力を加えることで成り立つのです。