スラストベアリング

スラストベアリングとは

スラストベアリング

スラストベアリング(英語:Thrust bearing)は、アキシャル方向(軸中心と平行方向)荷重を受ける場合に使用するベアリングです。一般的にラジアル方向の荷重に対しては対応していなく、高速回転する場合の使用には適していませんので、使用方法は注意が必要です。

ベアリングは、軸(シャフト)などの回転体を正確で滑らかに支持するための機械部品です。軸を回転させると、軸と支持している構造物や支持物は接触しているため、必ず摩擦による抵抗力や摩擦熱が発生し、回転するエネルギーの損失が生じます。その摩擦によるエネルギーの損失と発熱を防ぐためにベアリングを使用します。ベアリング以外にも「軸受」と呼ぶことがあります。
スラストベアリングなおスラストベアリングに関連する規格としては下記があり、寸法など製造者間の互換性があります。

  • JIS B1512 転がり軸受 主要寸法 第2部:平面座スラスト軸受
  • JIS B1536 転がり軸受 針状ころ軸受の主要寸法及び公差

スラストベアリングの使用用途

スラストベアリングは下記のような種類があり、その種類ごとに用途が異なります。スラストベアリング 種類

1. スラストボールベアリング(スラスト玉軸受

工作機械の主軸などに使用されています。

  • 単式:軸軌道盤、ハウジング軌道盤、転動体(ボール)、保持器の1組で構成されたベアリングです。
  • 複式:軸軌道盤x1組、ハウジング軌道盤、転動体(ボール)、保持器は2組で構成されたベアリングです。複式は両方向のアキシャル荷重に対応しています。

スラストボールベアリング

※ 取り付け誤差が許容できるよう、単式、複式のいずれの場合も、ハウジング軌道盤の形状は、球面調心座形タイプと調心座金つきタイプがあります。

2. スラストローラーベアリング(スラストころ軸受)

単列、2列、3列ところを並べて大きな負荷に対応したものもあり、複式は鉄鋼生産設備の圧延機ロールネックなどに使用されています。

  • スラストローラーベアリング(スラスト円筒、円すいころ軸受)
  • スラスト自動調心ローラーベアリング(スラスト自動調心ころ軸受)
  • スラストニードルベアリング

スラストローラーベアリング

3. スラストメタル、ワッシャ

スラストベアリング使用例

スラストベアリングの原理

スラストベアリングは、ハウジング軌道盤、軸軌道盤、転動体(玉、ころ)、保持器で構成されています。

アキシャル荷重は、シャフト(軸)と軸軌道盤はボールもしくはローラーを介して、ハウジング軌道盤でシャフト中心軸に対して平行方向に加わるスラスト荷重を支持します。ただし、スラストアンギュラボールベアリングを使用することで、ラジアル荷重も支持することができます。

スラストローラーベアリングは、大きなアキシャル荷重を支持することもできますが、スラストニードルベアリングは小さい荷重の場合に使用します。スラスト自動調心ローラーベアリングは、ハウジング軌道盤の転動体接触面が球面形状で、円すいころの転動体との位置関係に自由度があるため、調心性があり大きなアキシャル荷重も支持することができます。

スラストベアリングの使用に際して、ベアリングの潤滑は非常に重要で、特にスラスト自動調心ローラーベアリングは形状が複雑で、潤滑剤が各箇所にいきわたり難いため、オイル潤滑方式でオイルが十分にいきわたるように設計することが必要です。

スラストベアリングの組み付け

スラストベアリングは組み付け方向が決まっているため正しい向きに組み付けが必要です。特に軸軌道盤とハウジング軌道盤の大きさの違いを見極めることが重要で、内径側が小さいのが軸軌道盤になります。それぞれの軌道盤の組み付ける向きと順番を間違えないように組み付けをします。
また組み付け時には、各部品の付着物を十分に洗浄し、ボールもしくはローラーにグリースを塗布します。(オイル潤滑の場合は不要です)

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