アナログオシロスコープとは
オシロスコープは、電気信号の時間的変化を観測する計測器です。
ある一時点の電圧・電流を計測するだけのテスターとは異なり、オシロスコープは電気信号の周期・周波数や立ち上がりの状況、複数の信号間の時間差・位相差などを観測することができます。
アナログオシロスコープはオシロスコープの一種で、入力信号の時間的変化をCRT(ブラウン管)の画面上に表示させ、その波形を観測する計測器です。
入力信号を離散的な時間間隔でサンプリングしてデータ変換するデジタルオシロスコープに比べて、アナログオシロスコープは波形更新レートが速いという特徴があります。
アナログオシロスコープの使用用途
オシロスコープは、電気回路中の電圧・電流・周波数などの電気信号を、時間軸を横軸とする波形として観察できるため、産業機器や民生機器などに搭載されているあらゆる電気回路に対して、開発時の動作検証・デバッグ、製品出荷後の故障解析などに使用されます。
アナログオシロスコープは、デジタルオシロスコープに比べて波形の更新レートが速く、デッドタイムが存在しないというメリットがあり、以前はよく使われていました。
しかし、2000年以降、画面更新レートの高速化と低価格化が進んだデジタルオシロスコープが普及し、現在アナログオシロスコープはあまり使われていません。
アナログオシロスコープの原理
アナログオシロスコープは、入力信号の時間的変化をCRTの画面上にリアルタイムで表示させます。
CRTの裏面には蛍光膜がコーティングされていて、電子ビームが当たった箇所の蛍光膜が発光し、他の部分よりも明るい輝点が発生します。蛍光膜には一定の残光特性があるため、輝点の軌跡を波形として観測することが可能になります。
アナログオシロスコープは、入力信号をアッテネータ(減衰器)で感度を調節し、アンプ(増幅器)で振幅を調整した後、遅延ケーブルと垂直増幅器を経て、CRTの垂直偏光板に印加されます。この垂直偏光板は、入力信号の大きさに比例した距離だけCRT内部の電子ビームを上下方向に移動させます。
一方、アンプから分岐した入力信号は、トリガ回路を経て、のこぎり波を発生させます。のこぎり波は水平増幅器を経てCRTの水平偏光板に印加されます。アナログオシロスコープでは、のこぎり波が立ち上がっている区間だけCRT上に波形を表示することで、安定した波形観測を実現しています。