裏面照射型CMOSセンサー

裏面照射型CMOSセンサーとは

裏面照射型CMOSセンサーは、CMOSセンサーの一種です。

デジタルカメラやスマートフォンなどに搭載され、レンズを通して受光した光の情報を電気信号に変換する撮像素子として使われています。

CMOSセンサーには表面照射型と裏面照射型の2種類のタイプがあります。

従来型の表面照射型CMOSセンサーでは、表面の入射側とは反対側にフォトダイオードが配置されているのに対し、裏面照射型CMOSセンサーでは、基板裏面から光を照射することで、入射側にフォトダイオードが配置される構造をしています。

裏面照射型CMOSセンサーの使用用途

CMOSセンサーは、デジタルカメラ、スマートフォンのカメラ、画像検査装置などの撮像素子として広く使用されます。

裏面照射型CMOSセンサーは、従来型CMOSセンサーに比べて高感度・低ノイズという特徴があるため、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)、自立動作が要求されるロボットやドローン、物体認識・障害物検知装置などにおける距離画像センサーとしても使われています。

また、先進運転支援システム(ADAS)や、バックミラーの代わりとしてのカメラモニタリングシステム(CMS)など車載用途にも使用されています。

裏面照射型CMOSセンサーの原理

CMOSセンサーは、1画素ごとに1つのフォトダイオード、増幅器、スイッチで構成されていて、受光した光をフォトダイオードで電荷に変換・蓄積し、増幅器で電荷を電圧信号に変換し、格子状に並んだフォトダイオードを選択するスイッチを次々と切り替えて、1画素ごとに信号を読み出していくという原理で動作します。

従来型の表面照射型CMOSセンサーは、通常のCMOS回路同様、シリコン基板の一番下の層にフォトダイオードを配置し、配線層はフォトダイオードの上層、さらにその上層にカラーフィルターとオンチップレンズを配置するという構造をしています。

このような構造の従来型CMOSセンサーには、オンチップレンズで集光した光がフォトダイオードに届くまでに、配線やトランジスタ回路などが妨げとなり、感度が低下するという問題点があります。

一方、裏面照射型CMOSセンサーでは、シリコン基板上にフォトダイオードと配線層を設置した後、基板を反転し、基板を削ってから裏面にカラーフィルターやオンチップレンズを搭載しています。

このような構造の裏面照射型CMOSセンサーでは、光の照射面がシリコン基板の裏面となり、集光した光が配線やトランジスタの影響を受けないため、表面照射型に比べて単位画素が受ける光量が増大します。また、斜めから入射した光に対する感度も高くなっています。

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