ガラスエポキシ基板とは
ガラスエポキシ基板 (英: Glass epoxy board) とは、プリント基板 (英: Printed circuit board) の1種です。
プリント基板は、絶縁体の基板の表面または内部に配線だけを配置したもので、基板上に電子部品を実装して電子回路を製作するための基本的な部品です。プリント基板には、柔軟性を持たない硬質な材料を用いたリジット基板と柔軟性を有する薄い材料を使ったフレキシブル基板があります。
ガラスエポキシ基板は、リジット基板の1種です。布状にガラス繊維を重ねてエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ材で作られています。
ガラスエポキシ基板の使用用途
最も一般的なプリント基板は、ガラスエポキシ基板です。電気的特性や機械的特性に優れており、両面基板や多層基板として使用されるほとんどのプリント基板がガラスエポキシ基板となっています。
ガラスエポキシ基版は耐久性、断熱性、難燃性、低導電率などに優れています。そのため、パソコンや民生用電子機器、OA機器、ICカード、デジカメ、マザーボードなど、高周波数動作や高信頼性が要求される回路に使用可能です。
ガラスエポキシ基板の原理
プリント基板は、ベースとなる銅張積層板 (英: Copper Clad Laminate) 、回路パターンを形成する銅箔、基板表面保護用インク (ソルダーレジストインク) から作られています。
ガラスエポキシ基板は、銅張積層板としてガラス繊維製の布にエポキシ樹脂を加えたガラスエポキシ材で構成されています。
ガラスエポキシ基板の種類
プリント基板の種類には、銅張積層板を構成する基材によって、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板などがあります。FR (英: Flame Retardant) グレードと呼ばれる規格によって、プリント基板の耐熱性や難燃性を分類可能です。
一般的なガラスエポキシ基板はFR-4に分類されており、FR-4基板と呼ばれます。FR-4基板は高周波特性や電気的特性が良く、耐久性、吸湿性、難燃性が高く、低誘電率などの長所がある一方で、吸湿性が高くて加工性が悪いなどの短所もあります。
さらに、ガラスエポキシ基板にはFR-4より耐熱性の高いFR-5に分類されるタイプもあり、FR-5基板は高耐熱性が要求される車載用途などに応用可能です。
ガラスエポキシ基板の構造
ガラスエポキシ基板などのリジッド基板には、材質として紙やガラス布がベースの基板があり、ベースになる樹脂にもエポキシ樹脂やフェノール樹脂があります。ガラスエポキシ基板の回路層ごとの構造の種類は、片面基板、両面基板、多層基板に分けられます。
1. 片面基板
片面基板は配線パターンが片面だけに形成されて、電子部品が実装されています。ガラスエポキシ基板の場合には上から構造が、ソルダレジスト、銅箔、ガラス布の順番になっています。
2. 両面基板
両面基板は配線パターンが両面に形成されています。上から構造は、ソルダレジスト、銅箔、ガラス布、銅箔、ソルダレジストです。基材であるガラス布が中央に位置し、片面基板の構造が両面にあります。両面基板の場合にはビアやスルーホールなどの穴を施すと層間に電流が流れたり、リード部品を挿入できたりします。
3. 多層基板
多層基板は絶縁体とパターンを4層以上重ねた基板です。基本的には、両面基板と同じような構造です。銅箔、ガラス布、銅箔が中央にあり、層を積み重ねると銅箔が増えてソルダレジストで覆っています。
ガラスエポキシ基板の選び方
プリント基板は材質によって吸湿性や耐熱温度が違うため、コストを下げるのに安価なプリント基板を選ぶと使用用途に合っていない可能性があります。用途に合わないプリント基板を使うと、電子機器が安定して作動しなかったり、燃焼事故が起きたりする場合もあります。
材質の耐用年数や耐熱温度を比べて、使用用途に合った材質を選ぶことが重要です。精密なプリント基板の場合には、製造時や表面実装時の取り扱い方や保管方法も確認する必要があります。