パーティクルカウンターとは
パーティクルカウンターとは、空気中や水中に浮遊する微粒子の数を測定する装置です。
なお、パーティクルカウンターは、微粒子計測器とも呼ばれています。ある程度の清浄度が必要とされ、かつ確保されている空間、例えばクリーンルームなどの空間環境管理を目的として使用されます。
パーティクルカウンターの使用用途
パーティクルカウンターは、高い清浄度を求められる様々な産業の製造現場の空気清浄度の測定に使用されています。例えば、半導体や精密機械、食品および医薬品などの製造現場です。
空気中のほこりやカビなどの粒子は、製造歩留まりや品質および安全性に大きく影響を及ぼします。そのため、これら産業の製造現場においては、クリーンルームやエアカーテンなどを導入して空気中の清浄度を確保しており、このクリーンルームなどの内部の清浄度を管理するべく空気中の粒子を測定するのがパーティクルカウンターです。
パーティクルカウンターは、上記の産業のほか、宇宙・原子力分野などにも使用されています。
パーティクルカウンターの原理
パーティクルカンターは粒子に光を照射し、粒子により散乱された光を検知することで、粒径と個数を検出しています。パーティクルカウンターは、大まかに試料粒子を収集して検出部に供給回収する「試料供給部」と、試料粒子に光を照射する「光照射部」、試料粒子に照射された光が散乱した散乱光を検出する「検出部」で構成されています。
パーティクルカウンターの原理は以下の通りです。
- 試料供給部から供給された試料粒子に、光照射部からレーザー光などを照射すると、試料粒子が光を散乱します。
- この散乱光を検出部のレンズが捉え、フォトダイオードへ集光してから電気信号に変換し、粒子からの信号を電圧として検知します。
このとき、検知した信号はパルス状です。パルスの大きさ (波高値) は粒子による散乱強度に比例するため、粒子の大きさ (粒径) が測定できます。なお、粒径は、あらかじめ粒径が分かっている基準となる粒子の散乱強度との比較により算出しています。
また、パルスの数から粒子の数を測定することも可能です。この2つの要素から、粒径と粒子濃度 (個数) の両方を測定できます。
パーティクルカウンターの選び方
パーティクルカウンターを選ぶ際には、装置が測定できる粒子の濃度 (可測粒子濃度) と測定できる粒径 (可測粒径) および試料収集能力が重要です。
1. 可測粒子濃度
パーティクルカウンターは、1つ1つの粒子を測定するため、ある程度の濃度 (粒子の数) までは試料の単位時間当たりの流量が大きいほど測定精度は高くなります。しかし、あまりにも濃度が高い (粒子の数が多すぎる) と、一度の測定ですべての粒子を測定することはできません。
すなわち、測定可能な濃度 (可測粒子濃度) の上限値付近での測定においては不正確な測定結果や誤差が大きくなります。このことから、結果の信頼性を考えて、予測される試料の粒子濃度の5~10倍の最大可測粒子濃度の機種を選ぶ必要があります
2. 可測粒径
測定する粒子の径が、管理するクリーンルームの仕様よりも小さいパーティクルカウンターを用いると、浮遊している粒子の中で可測粒径よりも大きい粒子を測定できず、測定結果に大きな誤差が生じます。
3. 試料収集能力
粒子がパーティクルカウンターから遠く離れている、もしくは径が大きく重量が大きいため収集できないといった状況下においては、正確な測定ができない場合があります。すなわち、パーティクルカウンターでゼロの表示であっても、大きな粒径の粒子の存在を考慮して、他のツールで対策する必要があります。
クリーンルームの仕様をよく確認して、粒子の径や濃度の上限、試料収集能力がクリーンルームに合っているか検討することが大切です。
パーティクルカウンターのその他情報
1. パーティクルカウンターと粉塵計の違い
空気中の粉塵に光を当てて測定する装置には、パーティクルカウンター以外に、光学式の粉塵計 (以下、粉塵計と称します) や光学式のダストモニタ (以下、ダストモニタと称します) もあります。粉塵計とダストモニタの使用用途と測定方法は以下の通りです。
- 粉塵計・ダストモニタの使用用途
通常の部屋や大気、またはそれ以上の粉塵濃度の工場やトンネル内の現場で使用されます。 - 粉塵計・ダストモニタの測定方法
粒子を含む気体に光を照射し、散乱光を検出しますが、粒子1つ1つを測定するのではなく、まとまった状態で測定し、あらかじめ濃度が分かっている基準となる気体からの散乱光と比較して、濃度を算出しています。粒子が多い環境での使用に適しており、高い濃度まで測定が可能です。
パーティクルカウンターは前述のように、光を1つ1つの粒子に当てて測定する方法です。このような測定方法の違いから、粉塵計・ダストモニタはより多くの粒子を質量濃度 (単位〇〇mg/m3) として検出するのに対し、パーティクルカウンターは粒子の個数 (単位〇〇個/m3) と粒径を検出します。
また、粉塵計・ダストモニタは使用する環境の粉塵の濃度が高いので、吸引速度は毎分数Lで十分です。これに対し、パーティクルカウンターでは測定するもともとの粒子が少ないので、なるべく多く吸引することで測定結果の信頼性を高くできます。よって粉塵計・ダストモニタよりも速い毎分100Lの吸引速度のものもあります。
2. パーティクルカウンターの使用目的
空気中に存在する粒子は、いずれは物体表面に付着しようとします。この粒子が小さければ小さいほど後工程での除去が困難です。そのため、あらかじめ粒子の数を極力抑え、管理することが重要になります。そこで、パーティクルカウンターを用い、どの位の粒径のものがどのくらいの個数で浮遊しているのかを把握し、空気中の清浄度を必要とされるレベルに保っています。
参考文献
https://www.rion.co.jp/product/docs/10.pdf
https://www.transtech.co.jp/product/particle-qa
https://nitta-monitoring.com/particle/particle-selection/
https://www.transtech.co.jp/product/particle-qa
https://www.transtech.co.jp/product/metoneparticle