ニトリル手袋

ニトリル手袋とは

ニトリル手袋

ニトリル手袋とは、ニトリルゴムつまり合成ゴムを使用した手袋です。

ニトリルゴムとはブタジエンとアクロニトリルを結合した共重合体を指します。他のゴム製品と比べて耐油性・耐摩耗性があり、耐薬品性も高く、耐熱性に優れているのが特徴です。

ニトリルゴムの製品は、長く貯蔵できるメリットを兼ね備えています。天然ゴムと異なり、アレルギーの心配が少ない点もメリットの一つです。

ニトリル手袋の使用用途

ニトリル手袋は、様々な場所で保護具として使用されます。具体的には、耐油性を生かし、機械油を用いる機械メンテナンスや食品油脂分がある食品工場などです。また、耐薬品性があるので医療や介護など使用されることも多いです。

ニトリル手袋はポリエチレン手袋などとは異なり、フィット性があるので指先を用いた細かい作業に向いています。その特性を生かし、様々な場面で使用されています。

ニトリル手袋の原理

原料のニトリルゴムに含まれているアクロニトリルの性質によって、耐油性が高くなっています。アクロニトリルの量を増やすと、耐寒性が下がるデメリットがあります。多くの場所で使用されているのは、バランス良く配合された中高ニトリルと呼ばれるものです。耐油性に優れたニトリル手袋は、保護具としての用途に適しています。

さらに、ニトリル手袋は高い損傷耐性があります。耐摩耗性だけなく、突き刺しや引き裂きに対する強度もあります。仮に損傷しても、損傷部が大きく広がるため気づきやすく、すばやく汚染を避けられる点がメリットです。したがって、危険な物質を扱う際も安全に扱うことができます。

ニトリル手袋のその他情報

1. ニトリル手袋と食品衛生法

ニトリル手袋は、原料にフタル酸エステル類を含んでいないので、食品衛生法における食品・添加物等の規格基準に適合した製品です。フタル酸エステル類は生殖毒性などの人体への有害性が指摘されている物質で、日本だけでなく諸外国でも使用が制限されています。

食品衛生法において、フタル酸エステル類を含むポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂は、食品用途の器具や容器包装への使用に規制がかかっています。厚生労働省が定めたフタル酸エステル類については、その使用が規制されています。具体的には、以下の物質が挙げられます。

  • フタル酸ジ-n-ブチル (DBP)
  • フタル酸ビス (2-エチルヘキシル) (DEHP)
  • フタル酸ベンジルブチル(BBP)
  • 及びフタル酸ジイソデシル(DIDP)
  • フタル酸ジイソノニル(DINP)
  • フタル酸ジ-n-オクチル(DNOP)

2. パウダーフリーのニトリル手袋

ニトリル手袋をはじめとする手袋製品の中には、着脱を円滑に行うためのパウダーが塗布されているものがあります。このパウダーの成分には、タルクと呼ばれる含水ケイ酸マグネシウムの粉が用いられている場合が多いです。

医療用のニトリル手袋では、以前はコーンスターチ (とうもろこしなどから得られるデンプン) を原料とする粉末が使用されていました。この手袋を使用すると、皮膚に付着したパウダーにより、稀に皮膚炎やアレルギー炎を誘発する恐れがあるとして、パウダーフリー手袋への移行が進められています。

パウダー付きの医療用の手袋の取り扱い方法について、2016年12月に厚生労働省が通知を公開しています。安全性確保の観点から、医療用途に使用しているパウダー付き手袋を、2017年3月までにパウダーフリー手袋に切り替えを行うように促す内容です。

また、切り替えの間に使用するニトリル手袋のような非天然ゴム製の手袋でパウダー付きのものは、肉芽腫や術後の癒着を形成するリスクがあります。これを考慮したうえで、使用を検討するよう記載されています。

参考文献
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11125000-Iyakushokuhinkyoku-Anzentaisakuka/0000147464.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0222-6i.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/100812-1_1.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/591228-1.html

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