磁気テープ

磁気テープとは

磁気テープ

磁気テープとは、磁性を持った媒体をテープに付着させて電子データを記録したものです。

電源がなくても大容量の記録を長期間記録でき、以前はビデオテープやカセットテープとしてよく使用されていました。

アナログデータの記録で使われますが、デジタルデータの記録にも利用可能です。同じデジタルデータの記録媒体であるハードディスクや光ディスクと比較したメリットは記録と再生に電気を使用しない点です。

磁気テープの使用用途

磁気テープには以下のような使用例があります。

1. カセットテープ

1960年代に商品化され、ソニーが開発した「ウォークマン」の普及とともに世界中に日本製のカセットテープが拡販されました。カセットテープに使われている磁気テープの幅は3.81mmで、純鉄の磁性合金が塗布されています。

2. アーカイブ

長期間安全に機密データなどを保管し、必要な時にすぐ取り出せるデータ倉庫に使われています。保管に電気を必要としないためコストを抑制できます。

磁気テープの原理

磁気テープによる音楽の録音やデータの記憶の原理は以下の通りです。

カセットテープの中に茶色いビニールテープが巻いてあり、表面には磁石と同じ働きをする材料が塗布されています。テープレコーダーでは音を録音する際にマイクから入った音を電気信号に変換し、録音ヘッドに信号が伝わります。録音ヘッドはカセットテープに接触する小さな電磁石で、受け取った電気信号をS極とN極の信号に変換してテープ表面の磁性体に記録可能です。

磁気テープの表面には外観上は何も変化が起きていないように見えますが、多数のSとNの信号が記録されています。再生すると録音ヘッドが再生ヘッドに変わってテープに記録されているSとNを読み取り、増幅器を通ってスピーカーに伝わって振動となってもとの音に戻ります。

磁気テープの種類

磁気テープはビデオテープとオーディオカセットテープの2種類に分類されます。オーディオカセットテープには、ノーマルポジションテープ、ハイポジションテープ、フェリクロムポジションテープ、メタルポジションテープの4種類があります。

1. ビデオテープ

メーカーによってノーマル、プロ、ハイファイ、ハイグレードなどのテープグレードに分けられています。記録方式はVHSやS-VHSなどに分類されています。

2. ノーマルポジションテープ

磁性体として茶色の酸化第二鉄が塗布されています。メタルポジションテープに反転された内容を記録し、バイアス磁界中で重ねて転写すると大量に複製可能です。音楽用に最適化されたタイプは中低域のMOL (英: Maximum Output Level) に優れています。

3. ハイポジションテープ

クロム酸化物やコバルト酸化物が塗布され、クロムポジションテープとも呼ばれます。S/N比や中高音域の再現性に優れていますが、中低音域の再現性とMOLは音楽用ノーマルポジションテープより劣っています。

4. フェリクロムポジションテープ

ノーマルポジションテープが得意な低~中音域とハイポジションテープが得意な高音域を二層塗りし、双方の優れた特性を有します。フェリクロムポジションテープに対応していないプレーヤーやレコーダーではノーマルポジションテープとして代用可能です。ノーマルポジションテープとハイポジションテープの高性能化や高音質化に加えて、メタルポジションテープやEEポジションテープの登場によって急速に廃れました。

5. メタルポジションテープ

非酸化金属磁性体が蒸着され、保磁力に優れ、高密度の記録が可能です。大量複製時にはマザーテープとして利用できますが、大量複製には向いていません。

磁気テープの選び方

磁気テープは半導体メモリやハードディスクと比較して大容量です。エラーや故障が少なくて信頼性が高く、低コストで省スペースなため、長期保存向きの記録メディアです。

その一方で構造上、ランダムにデータへアクセスできません。テープの本数が増えると管理に手間がかかります。

参考文献
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0420/
http://www.tape-storage.net/magnetic_tape/

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