XYZステージとは
XYZステージ (英:xyz stage) とは、3軸方向に微動できる台です。
ステージのXYZ方向にマイクロメータが取り付けられており、各方向にステージを動かすことができます。ステージ上部には複数のネジ穴が開けられており、その穴を利用して光学素子などが固定可能です。
また、ステージ本体はマグネットを取り付けることもでき、強力な磁力により光学台に設置が可能です。マイクロメータを用いることで0.01mmというごく微細な刻み幅で位置が調整できます。
XYZステージの使用用途
XYZ3軸の移動機構により、試料ホルダーや試料加熱機構、各種導入機、その他コンポーネントの位置調整が可能です。
ステージ上に固定されたカメラやセンサ、その他の様々な光学素子について、その位置の精密な決定が可能です。3軸方向に移動できるため、測定・観察対象に応じて空間的にステージを位置調整したい場合に適しています。
また、レーザーを扱う場合には、その光路上に設置したミラーやレンズの位置調整が必要な場合があり、XYZステージが役立ちます。既存の光学系に容易に組込み可能です。
XYZステージの原理
XYZステージは、メカニカルステージや移動ステージと呼ばれるステージの1種です。XYZステージの移動調整はガイドに沿って行われ、ガイドの種類に応じて以下の3つの方式に分類されます。
1. クロスローラガイド方式
クロスローラとは、内輪と外輪の間にローラを直交させたコンパクトな構造のベアリングです。ボールベアリングと異なり線接触のため、高い剛性を得ることができます。また差動滑りがほとんどないため、摩擦が少なく送り幅の微細な調整が可能です。
2. アリ溝ガイド方式
アリ溝とは逆八の字の構造をした溝で、横からレールを滑り込ませて溝から抜けないよう工夫がされています。ガイド構造が単純なため、低コストで製造することができます。ただし、面同士が接触するため、摩擦係数が高く、微細な位置決めは困難です。簡単な位置決めに最適な方式です。
3. ボールガイド方式
2枚のステージにそれぞれガイドを固定し、その間にボールを配列した方式です。ステージの厚さを薄く出来るだけでなく、高い剛性を持ち、送り幅の分解能も良いという特徴があります。
XYZステージの特徴
1. 高精度な位置決め
各軸方向に高精度で位置決めが可能です。マイクロメータを搭載し、位置決めに、クロスローラーベアリングなどを使用して、確実・高精度の位置決めができます。
2. 超真空装置に最適
分子線エピタキシーMBEや表面分析装置などに使用する各種超真空装置用のタイプがあります。トランスファーロッド、回転導入機などと組み合わせて、真空装置内の移動が可能です。
3. 耐高温性
オールメタルシールやコンフラットフランジなどを使用したタイプは、最高200℃のベーキングができます。
XYZステージのその他情報
1. XYZステージの位置決め方式
XYZステージを使用して位置決めする方法は、3種類に分類できます。
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手動式
手動式は目標位置との差をカメラ等で拡大し、人間の目によって確認しながら、マイクロメータヘッド等によりステージを駆動する方法です。
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半自動式
半自動式は、目標位置との差を人間の目によって確認するのは、手動式と同じですが、ステージの移動を電動式にした方法です。手動式に比べ、より精度が高く位置決めができます。
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自動式
自動式は、目標位置との差を画像処理装置などの視覚センサを使って検出するので、自動位置決めが可能です。さらに高精度・高効率が期待できます。位置決め業務の自動化が可能になり、作業の効率化が図られます。
2. 自動式位置決めの実施例
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半導体の露光
XYZステージに対象物の半導体とマスクを固定し、カメラでマスクの位置決めマークを検出して目標にステージを移動させます。そして、UVランプをマスクの上から照射して露光を行います。
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スクリーン印刷
マスクの位置決めマークを検出して目標にステージを移動させます。そして、ステージをマスクの下に移動して印刷を行います。
参考文献
https://www.chuo.co.jp/core_sys/product/images/186/catalog/GC40_310-311.pdf
https://www.global-optosigma.com/jp/category/mp/mp01.html
https://www.global-optosigma.com/jp/category/mp/mp02.html