トルクドライバーとは
トルクドライバーとは、任意のトルクで締め付けを行えるドライバーです。
正確なトルクを必要とする作業においては、欠かせない工具です。トルクドライバーは、特定のトルク値を設定することができます。
適切なトルク値で締め付けることで、部品の損傷や破損を防ぎます。また、トルクドライバーは一定のトルクを提供するため、作業者の力加減に左右されず一貫した締め付けが可能です。これにより、作業の品質と信頼性の向上に寄与します。
トルクドライバーの使用用途
トルクドライバーは、さまざまな用途で使用されます。トルクドライバの使用分野は、代表的な作業は機械の整備です。特に自動車整備で使用されています。
1. 自動車
自動車のホイールナットやサスペンション部品など、自動車の各部品の締め付けに有用です。正確なトルク値で締め付けることで、部品の損傷や緩みを防ぎつつ安全性を確保します。
2. 航空機
航空機のメンテナンスや整備においても、トルクドライバーは重要な役割を果たします。航空機の部品は高い信頼性が求められるため、正確なトルク制御が必要です。各種工業製品の製作段階でも、トルクドライバーが使用されることがあります。
3. 電子機器
電子機器の分野では、 コンピュータやモバイルデバイスのマザーボードの組み立てにおいて使用されることが多いです。また、シリンダーヘッドやクランクケースなど、大型機械部品を正確なトルク値で締め付ける場合にも使用されます。
トルクドライバーの原理
トルクドライバーは、一般的にスプリング構造を利用しています。スプリングはトルクドライバーのボディとドライバーヘッドの間に配置され、回転力がかかると圧縮または伸長します。
スプリングに一定の回転力が付与されると、内部機構によってクリック音や物理的な操作感を示すことで使用者に知らせる仕組みです。これにより、所定のトルク値での締め付けを確実に行うことができます。
なお、トルクドライバーにはトルク設定構造があります。これにより、必要なトルク値を設定することが可能です。一般的にはトルク設定ノブまたはダイヤルがあり、指定したトルク値に合わせて調整します。
また、一部のトルクドライバーには解放機構が備わっています。過トルクが発生すると、クリック音と同時に内部のラッチが外れて空回りします。
トルクドライバーの種類
トルクドライバーにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴が異なります。以下は、トルクドライバーの種類一例です。
1. デジタル型
デジタル型は液晶が搭載されており、リアルタイムに締め付けトルクを監視できるトルクドライバーです。目標トルクを設定すると、作業中にその付近に到達したときに音などでそのことを作業者に通知します。デジタル型は高度なセンサーや制御回路を使用するため、非常に正確なトルク制御が可能です。
また、一部のモデルではトルクデータを記録する機能を備えています。作業時のトルク値や日付、時刻などが保存され、後で参照や追跡が可能です。品質管理やトラブルシューティングに役立ちます。
2. プレセット型
プレセット型はドライバーにダイヤルなどが付いており、そのメモリを操作することでトルクを指定できるトルクドライバーです。電池などの電源が必要ないため、電池切れなどの心配がありません。プレセット型は空転式の製品が多く、指定トルクに到達するとそれ以上締められないような構造になっています。
3. 単能型
単能型はダイヤルやボタンなどが搭載されておらず、締め付けトルクが決まっているトルクドライバーです。トルクドライバーテスターなどを用いて校正する必要があります。容易に指定トルクを変更できないため、作業者のポカヨケなどの観点で繰り返し作業などに用いられます。
また、一方向にのみトルクをかけることができる場合も多いです。通常は、右回りの締め付け方向にトルクを伝達します。