ドリルねじ

ドリルねじとは

ドリルねじ

ドリルねじとは、下穴やねじ切りなしでねじ止めできるドリル形状のねじです。

通常ねじを締めるためにはねじの受け側にねじ溝に合わせた切り込み (下穴) が必要です。下穴を開ける作業をねじ切りと呼びます。

現場では、テクスビスや、ピアスビスと呼ばれることもあります。

ドリルねじを使用すればねじ切り作業が不要で、ねじ穴がなくてもねじ締め作業が可能です。ドリルねじ自らが穴を開けながら進み、相手部材を固定できます。

ドリルねじの使用用途

ドリルねじは建築現場などで鉄骨部材を締結する際に多く用いられています。

上下2枚の板金の間にボード類を挟む場合は、ドリル部の肩が下側板金を突き抜ける際にねじ部が上側板金にかかっていない状態が正しい使用方法です。

例えば、ドリル部が下側板金を突き抜けた際にねじ部が上側板金にかかっているとねじ締め中に上側板金が上がってきて隙間ができたり、ドリル部に欠け・折れが発生し、締結不良を引き起こします。

ドリルねじの原理

ドリルねじは種類は多いため用途に応じて使い分けられます。代表的なドリルねじの種類と原理は以下の通りです。

1. 頭部形状: なべ

ドリルねじで最も一般的な頭部形状です。頭部がなべ底形状で、冷間成形性が良いです。

2. 頭部形状: 6角 (ヘックス) 

トルク伝達力が大きくカムアウトしにくいです。太径ねじに適しています。

3. 頭部形状: サラ

頭部の形状が平たく、締結後にひっかかりがないため、外観を良く見せる場合に使用されます。

4. 頭部形状: フレキ

座面にリブが形成されています。硬いボード類に沈みやすいです。

5. 頭部形状: トラス

頭部径が大きく、締結物を強く押さえます。

6. ねじ山形状: タッピン

ドリルねじで最も一般的なねじ山形状です。軽量鉄骨の締結に広く使われます。

7. ねじ山形状: マシン

下地材が薄くても必要な保持力を確保でき、緩みにくいです。保持力を確保しやすいため、ねじの外径を小さくでき、ねじ締めトルクを削減できます。

ドリルねじの種類

板厚の厚さに合わせてドリルねじのドリル部の形を選択する必要があります。

1. 薄板用

1〜1.2mmほどの薄板鋼板の締結で保持力が高いです。ねじ山のかかり代が大きいです。

2. 標準板厚用

厚さが2.3〜4.5mmの板でよく使用されます。ピッチは薄板用と同様の並目で、ねじ込み性や保持力のバランスが取れています。

3. 中厚板用

4.0〜6.5mmの板厚に向いています。ねじ込みトルクを低減するようにねじ山の一部が切削加工されています。

4. 厚板用

6〜13mmの板厚に適しています。ねじ山の一部を切り欠いて切り刃を形成しています。

ドリルねじの選び方

主にドリルねじの材質にはステンレス鋼や炭素鋼が使用されます。

1. ステンレス鋼

ドリルねじにはマルテンサイト系ステンレスやオーステナイト系ステンレスなどが用いられます。ステンレス鋼は耐食性が高いです。さらに強度が必要なら焼入れできるマルテンサイト系が、より耐食性が必要ならオーステナイト系が適しています。マルテンサイト系は鋼板などの硬い素材に、オーステナイト系はアルミ材などの軟らかい素材に使う場合が多いです。

2. 炭素鋼

冷間圧造加工で製造された素材を使用します。マンガンの量が多いと衝撃強度、耐摩耗性、引張強さなどを向上でき、高品質のアルミキルド鋼から製造されます。

ドリルねじの構造

木材や硬質ボードに取り付けるため、リーマ付やパイロット付などの形状のドリルねじもあります。

1. リーマ付

リーマはドリル部で開けた穴径を広げる刃です。ドリル部の端には2枚のウィング状の刃が付いており、木材のような軟らかい部材を進むときにリーマが機能します。硬い部材まで到達するとはじけ飛んで役目を終えます。

2. パイロット付

パイロット部はドリル部から延びた平滑部分とドリル刃を含むねじの先端部分です。めねじ立てと削孔する場所の間に距離があり、厚い部材でも締結可能です。

参考文献
http://www.kinzoku-yane.or.jp/technical/pdf/0609web.pdf
http://www.drill-neji.com/tukaikata.htm

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