スターデルタタイマとは
スターデルタタイマとは、三相交流モーターをスターデルタ起動する際に使用するタイマです。
スターデルタスタータと呼ばれることもあります。モーターを完全静止状態から起動した際には、定格電流の約6~8倍の始動電流が発生することが多いです。
この始動電流によって瞬時電圧低下や遮断器の誤動作が発生し、装置の故障に繋がります。したがって、産業用機器ではスターデルタ始動によって、突入電流を低減させることも多いです。
スターデルタ始動とは、モーター起動時には最初にスター結線で接続し、一定の時間後にデルタ結線に切り替える方式です。これにより、起動時の電流を低減させることができます。スターデルタタイマーは、この結線切替を補助する装置です。
スターデルタタイマの使用用途
スターデルタタイマは、主に産業用機器の大型機器に使用されます。以下はスターデルタタイマの使用用途一例です。
1. ポンプ・ファン
スターデルタタイマの最も多い使用用途はポンプやファンであり、これらは一般的に大容量のモーターを使用しています。スターデルタタイマーはこれらの機械の起動時の電流ピークを制限し、モーターへの負荷を軽減することが可能です。特にポンプは、水や液体を移動させるために使用されるため、起動時の効率的な制御が重要です。
大型ポンプとは、上水道の供給ポンプやボイラ給水用のポンプなどが一例です。ファンについては、産業用バーナーの送風ファンなどに適用されます。
2. コンプレッサー
コンプレッサーは、空気圧縮機や冷凍機などで使用されます。これらの機械は起動時に高い電流を必要な場合が多いです。スターデルタタイマーは、起動時の電流ピークを制限し、電力供給への負荷を低減します。
スターデルタタイマーはコンプレッサーの効率的な運転を支援し、消費電力を最適化します。
3. 混合機
混合機は、異なる成分や材料を均一に混ぜ合わせるために使用される機械です。混合機には通常、大容量のモーターが使用されます。これらのモーターの起動時には高い電流ピークが発生するため、始動電流を低減するためにスターデルタタイマが使用されます。
スターデルタタイマの原理
スターデルタタイマはスター結線からデルタ結線へ移行する時間を測定し、接点信号を出力する装置です。スターデルタ始動とは、三相交流モーターの結線方法を途中で変更する始動方法です。
始動トルクを若干低下させる代わりに、始動電流を大幅に低減します。スター結線からデルタ結線への切り替えはタイマで制御することが多いです。スター結線からある一定の時間が経過した後にデルタ結線へと切り替える仕組みです。一般的なタイマーの時間として、数秒~十数秒程度スター結線で始動します。
汎用タイマを用いてもスターデルタ始動を制御することは可能ですが、スターデルタタイマには省スペースで低消費電力などのメリットがあります。製品によっては差し込み端子台が採用されており、施工を簡略化することも可能です。
スターデルタタイマの選び方
スターデルタタイマを選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが必要です。
1. 電源電圧
スターデルタタイマは、使用する電源電圧に対応している必要があります。一般的には、AC200Vなどの主要な電源電圧に対応したモデルが市場に提供されています。適切な電源電圧のスターデルタタイマを選択することが重要です。
2. 端子タイプ
スターデルタタイマの端子は、ピンタイプや差込端子などの種類があります。ピンタイプには8ピンや11ピンの製品があり、8ピンが主流です。ピンタイプの場合は、合わせて台座を選定する必要があります。
3. 取付方法
取付方法には、表面取付や埋込取付などの種類が存在します。取付場所に応じて選定することが必要です。
一般的に制御盤の内部に適用する場合は表面取付を選定します。DINレール取付の製品がほとんどです。盤面に取り付ける場合は、裏面取付を選定します。