タクティルスイッチ

タクティルスイッチとは

タクティルスイッチとは、操作部分がクリックする感触を有するスイッチのことです。

呼び名は様々で、タクタイルスイッチやタクティールスイッチ、プッシュモーメンタリ―スイッチ等とも呼ばれています。なお、タクティルスイッチのタクティル (Tactile) は、触覚という意味です。

様々な電子機器や家電品の入力操作部として広く用いられているスイッチで、操作部分を押し込むと電気回路を通電させることができます。操作部分を押し込む際に、クリックする感触があり、人が操作したことを感触によりフィードバックすることが特徴です。

また、繰り返し何度も人が操作を行うため、可動接点を兼ねるばねの材料や形状などの工夫により長期にわたって安定的に動作をする耐久性が求められます。

タクティルスイッチの使用用途

タクティルスイッチの使用用途は、電子機器や家電品、産業機器、OA機器などの様々な製品の操作部分です。スイッチのON/OFF機能に付随して操作している人にスイッチを操作していることを認識させるという目的もあります。

例えば、誤動作を防ぐ観点を重要視すべく、車のステアリングやインターフォンに搭載されるプッシュ操作による押し込みの感覚が明確な長ストロークのものがある一方で、スマートフォンやスピーカーに搭載される電源ボタンや音量ボタンなどのストロークが短いものや、マウスやゲームコントローラーに搭載される中ストロークのものなど、使用用途に応じてスイッチの仕様は様々です。

タクティルスイッチの原理

タクティルスイッチは、内部に押ボタン (Push板) と称するボタン状の可動接点を有し、人がこの押しボタンを押すことでこの可動接点が下側の固定接点と接触し、通電するようになっています。タクティルスイッチの構成部品は、主にカバー、押ボタン (Push板) 、フィルム、可動接点、ベースの5つです。

1. カバー

カバーは、ベースとともに内部構造を保護します。金属板のプレス加工により作られることが多いです。

2. 押ボタン (Push板)

押ボタン (Push板) は、人が操作部を押す部分の部品で受けた力を、フィルムを介して可動接点に伝えます。

3. フィルム

フィルムは薄い樹脂製のシートで、接点部分を密閉することで水や異物が入ることを防止します。

4. 可動接点

可動接点はドーム状の形状を有しており、押ボタンが押されフィルムを介して可動接点が押し込まれることで、ベースに配置された固定接点と接触し、電流が流れます。

4. ベース

ベースは接点と端子が搭載されている樹脂製などの部品で、他の部品を取り付ける土台となります。

 

機器に搭載されたタクティルスイッチは、押ボタンを人が押すことでベースに搭載された固定接点と可動接点が接続され導通します。押ボタンから指を離すと、固定接点と可動接点が離れることで開放されます。押ボタンが押されている間だけ通電するモーメンタリ―タイプのスイッチです。

タクティルスイッチのその他情報

1. ハプティクスとの融合

家電品、情報機器、産業機器、車載向けと多岐に渡る用途を有するタクティルスイッチですが、昨今注目されている用途の分野が「ハプティクス」という名称で呼ばれる「触覚技術」の分野です。ハプティクスとは振動を通じて、触覚に相当する人間の感覚を人工的に再現する技術ですが、この技術はVR/ARやゲーム機、ヘルスケアなどの分野で非常に注目されています。

VR技術はメタバースの世界で仮想空間のリアリティを向上させるために触覚に相当する技術の後押しが必要であり、ヘルスケアの世界でも遠隔治療の際に有用な技術としてハプティクスが注目されています。タクティルスイッチで培った技術をベースにクリック感だけでなく、ばね共振構造などの採用により、振動表現力に力を入れて、ハプティクスとの融合に力を注ぐメーカーも登場しています。

2. 圧電素子技術の応用展開

薄型スイッチに振動表現を加える事例としては、その他にもドーム型の可動接点部に圧電素子技術の応用を図っているものがあります。タクティルスイッチのクリック感という人間へのフィードバック技術は、近年新たに振動表現を加えて、より使いやすい魅力ある先進技術へと変化を遂げています。

参考文献
https://ac-blog.panasonic.co.jp/20160701
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20120510/217190/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です