IPD

IPDとは

IPD(Intelligent Power Device)は、パワースイッチ、過熱・過電流などに対する各種保護回路、制御回路などを1チップに搭載したパワーICです。

IPS(Intelligent Power Switch)、スマートスイッチ(Smart Switch)などと呼ばれることもあり、誘導性負荷による逆起エネルギーを吸収することができる高性能な半導体パワースイッチです。

IPDには、外部負荷に対して電流側に配置するハイサイドスイッチと、GND側に配置するローサイドスイッチがあり、それぞれの配置に適した回路構成をしています。

IPDの使用用途

IPDは、モーター、ソレノイド、ヒーター、ランプなど、逆起エネルギーを発生する恐れがある誘導性負荷を駆動するスイッチとして使われます。

特に車載分野での用途が多く、ECU(エンジン制御ユニット)、ADAS(先進運転支援システム)、トランスミッション制御ユニット、油圧サスペンション制御ユニット、パワー・ディストリビューション・モジュールなど、安全性の要求が厳しいさまざまな車載部品に使用されています。

また、モーター駆動、ソレノイド駆動を伴う産業用機器や、エアコン、換気扇、シーリングファンなどの家電製品にも使われます。

IPDの原理

IPDは、駆動用のパワーデバイス、電流センサ、過電流保護回路、温度センサ、過熱保護回路などで構成されます。

モーターやソレノイドなどの誘導性負荷を駆動すると、誘導性負荷の周囲に磁場が発生します。駆動電流をオフにすると、電流の供給がなくなり磁場が崩壊し、磁場の変化による電磁誘導により逆方向の電流が誘導されて逆起電力が発生します。このとき発生する逆起電圧は、電流の変化の速さに比例しており、電源電圧をはるかに上回る高電圧スパイクとなる場合もあります。

IPDは、このような逆起電力が発生したとき、電流センサが過電流を検知して、過電流保護回路のMOSFETをオフにして電流を遮断します。また、過電流が消滅したことを検知すると、再び保護回路のMOSFETをオンにして復帰します。過熱に対しても、同様の保護システムが働きます。

IPDにはハイサイドスイッチとローサイドスイッチの2種類あります。

ハイサイドスイッチは、外部負荷と電源の間に挿入するスイッチで、一つの電源に複数の負荷が接続されている回路に適しています。自動車はバッテリーが固定で、車体が接地されている環境なので、スイッチがオフ状態のときに車載デバイスがGND電位になるハイサイドスイッチがよく使われます。

ローサイドスイッチは、外部負荷とGNDの間に挿入するスイッチで、複数の電源に負荷が接続されている回路に適しています。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/switch
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/product/intelligent-power-ics.html
https://www.infineon.com/dgdl/Infineon-JPPowerDevice1408-10-ART-v01_00-JA.pdf?fileId=5546d462576f34750157ba4dfaf536d5

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